2022年9月26日月曜日

かち\/山咄し(木村文三郎) その8

P4 国立国会図書館蔵

P5後半

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(読み)

奈してぢゝい尓くハせ多ちま

なしてじじいにくわせたちま


ちもとの多ぬきと奈り者゛ゝア

ちもとのたぬきとなりば ばあ


くつ多ぢゝいヤイ奈可゛しの志多

くったじじいやいなが しのした


の本年をミろといひ奈可゛ら山

のほねをみろといいなが らやま


へ尓げ由起多りぢゝいハ奈げ起X

へにげゆきたりじじいはなげき


(大意)

(食事の支度を)して、ジジイに食べさせ

るとたちまちたぬきとなって

「ババアをくったジジイやい、流しの下の

骨を見ろ」といいながら、山へ

逃げて行きました。ジジイは嘆き


(補足)

「ぢゝい尓くハせ」「者゛ゝアくつ多ぢゝいヤイ」、「く」の次に筆が流れているので読みづらい。「くつ多」もしばらくわかりませんでした。「ヤイ」は語尾につけて、からかうような馬鹿にするような感じをにおわせますが、カタカナ「ヤイ」をみるのは初めてなような気がします。

 ポンポコたぬきが屏風に見事です。そのすぐうしろの縁側で、顔に手ぬぐいを押し当て嘆き悲しんでいるのはもちろん爺さんです。屏風の手前ではまさにババア汁をおいしそうに食べている爺さん。屏風の一枚向こうでは、それを知って嘆いている爺さん。天国と地獄です。

 うさぎが山へ逃げてゆくたぬきを見て、なにか決心している感じです。


 

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