P12 国立国会図書館蔵
(読み)
幾 英 筆
いくひでひつ
◯もゝ太郎 ハ王可゛や
ももたろうはわが や
へ可へりぢゝ者゛ゝへ可う\/
へかえりじじば ばへこうこう
をつくし
をつくし
とも尓
ともに
つ連▲
つれ
▲多る
たる
さる
さる
いぬ
いぬ
きじへも
きじへも
そ連\/尓
それぞれに
おんしやうを
おんしょうを
めぐミめで多き者るを
めぐみめでたきはるを
む可へ个りめて多゛し\/\/
むかえけりめでたしめでたしめでたし
(大意)
桃太郎はわが家へ帰り
じじばばに孝行を尽くしました。
供(とも)に連れていた
犬、猿、雉にも
それぞれに褒美を与え
めでたい春をむかえたのでした。
めでたしめでたしめでたし。
(補足)
幾英筆と囲みに名前が入って目立つようになっています。小林幾英または小林英次郎。ネットで調べるといろいろ出てきますし彼が描いていたたくさんの浮世絵も見ることができます。すばらしい浮世絵を描いている一方で子ども向けの豆本の絵を描いていることにも驚かされます。
ちょっと前でしたら犬がこんな格好で散歩していたら驚いたでしょうが、昨今はこのような姿をさせてお供をさせている飼い主さんがいるのでそれほど驚かないでしょうが、でもきっと振り返るでしょう。まぁお供はどちらかわからなくなっていますけど。
桃太郎の両袖の家紋が桃です。しゃれてます。袴も裃もなんという細かい柄模様でしょうか。二本差しの飾りも手を抜いていません。
扇を開く方を手にしています。絵でよくみかける描き方です。このように持つのが作法だったのでしょうか。確かにここを持てばなにかのはずみで開くことはありません。
背景のお城には金のシャチホコがあり、さらにおくには見事な富士山です。裾から頂上へと濃淡をほどこし大沢崩れも描かれています。かなり意識して描いているのがわかります。
桃太郎の右肩にかぶさる木は桃の木のような気がしてなりません。
あらためて全体をみわたすと、犬がでかいなと感じました。
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