2022年9月17日土曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その24

 

奥付 国立国会図書館蔵

(読み)

定價三銭

明治十五年七月十一日御届

東京馬喰町二丁目一番地

編輯兼出版人 木村文三郎

(大意)

(補足)

 このBlogにとりあげた編輯兼出版人木村文三郎さんの銅版画豆本は「あさ可゛本物語」「ねこの道行」「ねずみの嫁入」「猿加尓合戦」「花咲ぢヾい」「婦゛んぶく茶釜」とこの「桃太郎一代記」です。住所がここでは「日本橋区」がありません。「ねこの道行」も同様で、この2冊は奥付が同じ版になってます。他5冊は「日本橋区」が入っていてこれらの奥付は5冊とも同じです。

 近世文芸に以下の文献があります。著者の磯部敦氏には許可を得ていませんが紹介させていただきます。

「銅版草双紙考

磯部 敦

2002 年 75 巻 p. 107-117 

発行日: 2002年

公開日: 2017/04/28 

DOIhttps://doi.org/10.20815/kinseibungei.75.0_107」

 この中に明示15年生まれの金田一京助の回想談が紹介されています。

『また、明治十五年に生まれた金田一京助は、縁日で絵本を漁った子供時代を次のように回想する(注32)

自分で選んで、勝手に買って、夢中になった本の初まりは、七つ八つから十才ほどになる頃の、縁日にあさる絵本、草ぞうしの類、だった。十銭ぐらい手にして行って、見世物や アメ玉に使った残りを、一銭、二銭という、そうした絵本に、あれでもない、これでもない、それよりもこっち、い や、こっちよりもそっち、と、岩見武勇伝・絵本太閤記・ 義経一代記・義経勲功記と云った類をあさるうれしさは、今に忘れえない。記憶では、編修兼発行者が堤吉兵衛というのが一番多かったが、これは品が少しおちた。絵も下手、版もわるかった。それに比して尾関とよという女名の本は、絵もよく、版もきれいなので、それを大さわぎして選ったものだった。』

 これだけの見栄えのする豆本が草双紙屋で販売される以外にも縁日の夜店で子どもの買える値段で販売されていたのでした。


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