2021年5月31日月曜日

豆本 昔噺し舌切春ゞめ その3

P2

(読み)

と奈りのけん

となりのけん


どん者゛ゝ可せん

どんば ばがせん


多くせんとこゝ

たくせんとここ


のへお起多るのり

のへおきたるのり


を奈めける可゛者゛ゝ

をなめけるが ばば


お本ひ尓者らを

おほいにはらを


多ち者さミを

たちはさみを


もつて春ゝめの

もってすずめの


志多をきり

したをきり


尓可゛し个るぢゝい

にが しけるじじい


可へり春ゝめの

かえりすずめの


ミへぬ尓と奈り尓

みえぬにとなりに


「志多

「した


きり

きり


春ゞめ

すずめ


おやどハ

おやどは


どこ多゛

どこだ


(大意)

隣のけちで欲深なババアが

洗濯をしようと

ここに置いた糊(のり)を

(子雀が)なめてしまいました。

ババアは大いに腹をたて

ハサミを持って雀の

舌を切り逃しました。爺が帰って

雀がいないと隣の家に


「舌切雀

お宿はどこだ


(補足)

 文章全体が、背景の赤横縞に重なって少々読みづらい。

「けんどん」、漢字は「慳貪・倹飩」。つっけんどん。愛想のないこと。けちで欲が深いこと。などとあります。平仮名「け」がつかわれていますが、このあとには変体仮名「个」があります。

「こゝのへ」、「へ」は「辺」でしょう。この辺に置いておいた糊という感じ。

「お本ひ尓」、「不」のようにみえるのは変体仮名「本」(ほ)。

下部の「」部分、明治19年当時はこの歌詞の曲がもうあったのでしょうか。ついつい曲を無意識に重ねてしまいます。

 絵は丁寧で杖には竹の節が描かれています。爺さんの羽織や袴の柄や色合いも素敵です。

 

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