2021年5月30日日曜日

豆本 昔噺し舌切春ゞめ その2

P1

(読み)

明治十九年十一月十五日内務省交付1541

丸朱印 東京図書館印 TOKIO LIBRARY


む可し\/ あるや満ざと尓

むかしむかしあるやまざとに


正ち起゛ 奈るぢゝいありて可春可尓くらし

しょうじきなるじじいありてかすかにくらし


个る可゛あるひから須尓お王れし春ゝめの

けるが あるひからすにおわれしすずめの


こを多春け可ひお起し可゛ちゝいのる春尓

こをたすけかいおきしが じじいのるすに


(大意)

昔々ある山里に

正直な爺がひっそりと暮らしておりました。

ある日カラスに追われた雀の子を

助けて飼っていたのですが、爺の留守に


(補足)

 頁をめくったのっけから、衝撃的な絵であります。一体何が起きたのだろうと読者をつかみにかかります。意地悪婆さんの着物の縦縞の三色色柄がなかなかシックで素敵です。手にはでっかい和鋏(わばさみ)を持ち、ちと恐ろしい。

「や満」(やま)、「や」は変体仮名「也」、「つ」のながれで最後にクルッと右回り。

「正ち起゛」、濁点「゛」の位置がちがいますが「しょうじき」。「正」のくずし字が見慣れたものとことなりますが文章の流れから「正」でしょう。

「可春可」(かすか)(幽か・微か)、人けのないさま。物寂しいさま。

「から須尓お王れし春ゝめ」、変体仮名「須」(す)、変体仮名「王」(わ)、変体仮名「春」(す)。

「可ひお起し可゛」、変体仮名「起」(き)。

変体仮名「春」(す)が何度も出てきます。「十」+「て」のような形です。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿