2020年5月4日月曜日

豆本 狐の嫁入 その3




 P.1

(読み)
こゝ尓玉 やふく
ここにたまやふく

ゑもんときつ
えもんときつ

ね奈可まの大
ねなかまのだい

ぶ个゛ん尓てせ可゛連を○
ぐげ んにてせが れを


○玉 二郎 とて
 たまじろうとて

十  五さひ
じゅうごさい

尓奈りし可
になりしか

バ个゛んぶく
ばげ んぷく

をさせ个る
をさせける

尓よく☓
によく



(大意)
ここに玉屋福右衛門と狐仲間である大分限の倅で
十五歳になり元服したばかりの玉二郎というものがおりました。


(補足)
「大ぶ个゛ん」、分限(ぶげん)。お金持ち、富者。財産家。
「せ可゛連」(せがれ)、変体仮名「連」はいろいろ形を変えますが、これくらいならすぐわかります。

「奈りし可バ」、「り」が小さくて「し」が二文字分くらいあります。
「个゛んぶく」、「ぷ」ではなく「ぶ」と濁点です。


 玉二郎は煙管を手に、扇子で顔を隠し恥ずかしがっている娘さんに何やら熱い視線を投げかけています。娘さんは一瞬にしてほの字の様子。

 前回の豆本より、こちらの絵のほうが人物の腰から下の線がやわらかで色気があります。
裾を足先だけだしてタップリ引き下ろしているのも美人画錦絵の手法。



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