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(読み)
[つゝき]
尓あひとこの
にあいとこの
本可奈るび奈ん
ほかなるびなん
尓ぞ奈り个る
にぞなりける
この日の多゛やこん
このひのだ やこん
春けき多り
すけきたり
多満二郎 可゛
たまじろうが
个んふくを志由くし
げんぷくをしゆくし
ついて尓よめこをおせ
ついでによめこをおせ
ハせんと者つむ満
わせんとはつむま
のい奈りまつりを
のいなりまつりを
さい王い尓玉 二郎 を
さいわいにたまじろうを
つ連由起个るむ春めハ
つれゆきけるむすめは
(大意)
(元服した姿は)誰が見てもこれ以上ないくらいに
美男(びなん)となっていました。
この日、野田屋狐助(のだやこんすけ)が来ました。
玉二郎が元服をしたことですし、ついでに嫁さんをお世話しましょうと
初午(はつむま)の稲荷祭(いなりまつり)を幸いに
玉二郎を連れて行きました。
(補足)
前頁の最後の文章には続きを表す記号「X」がありますが、この頁の先頭は「つゝき」となってます。
「この日」の後に続く「の多゛やこん春け」がしばらく理解できませんでした。
読みに間違いがないはずと、前後を読み比べ、「き多り」が「来たり」だろうとわかると、不明の部分は人の名前とやっと納得。初心者は辛い。
次にもっとわからなかったのがここ、「者つむ満のい奈りまつり」。
基礎的な語彙が不足しているのが理由とあとで思い至りました。
「い奈りまつり」はそのままで「稲荷祭」。
「者つむ満」が悩んだ。「者つ」と「む満」に分かれるだろうと気づくのにこれまた時間がかかりました。そういえば「む満」は「馬」や「午」のことだったと思い出せば、あっそうか「初午」だとわかった次第。恥ずかしく情けぬ。
で、ググってみると、芭蕉の俳句にこんなのがありました。
「はつむまに狐のそりし頭哉」
ついでに蕪村「初午や物種うりに日のあたる」、
子規に「初午や土手は行来の馬の糞」、
龍之介に「初午の祠ともりぬ雨の中」、
「初午」は初春の季語なので、大抵の人は俳句で用いているのですね。
「玉二郎」がこの前段では「多満二郎」となっています。
いつもながら変体仮名の使われ方が不思議。
赤い角盆にのってるものが気になります。
お吸い物と白っぽいのは香の物で青いお皿はこれは稲荷揚げかな。
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