2020年5月15日金曜日

豆本 狐の嫁入 その14




 P.12

(読み)
[つゝ起]

いへハ
いえは

ま春ゝ
ますます

者んじやう
はんじょう

奈しめで
なしめで

多く者るを
たくはるを

む可ひ个る
むかいける

めて多しゝ
めでたしめでたし

ゝゝ

ゝゝ


(大意)
家はますます栄え、
めでたく春を迎えたのでありました。
めでたしめでたし
ゝゝ


(補足)
 最後はスラスラ読めて一安心。

変体仮名「春」(す)は平仮名「す」+「て」のような形。
変体仮名「者」(は)は平仮名「む」の最後を上げないでダラダラっと下げる感じ。
変体仮名「多」(た)は平仮名「さ」の一画目の横棒がない形。
変体仮名「可」(か)は平仮名「う」と区別がつかないことが多いので、前後の流れから判断したほうが間違いがない。

「个る」(ける)、二文字セットとみなしたほうが簡単です。「る」は変体仮名「留」ですが、平仮名「る」の一画目の横棒がありません。


 お供の小僧が手にしているのは、神社でもらったお札でしょうか、水引きのような丸い輪っかも付いてます。

 女性たちの着物の裾に流れる緩やかな線が何気ないけど上手、静馬さんにとってはササッとわけなく描いちゃうんでしょうね。

 鳥居の石の質感もこんな風に表現するんだとあらためて感服です、点点点とうってるだけなんだけど。

 神社の鳥居の額が出だしの「正」は読めたのですが、その次からがあれれ、なんかわかりません。
ここに記されているのは決まり文句の「正一位稲荷」や「正一位稲荷大明神」です。
しかし・・・

 村井静馬さんは凝ってますねぇ。
気づいちゃいましたよ。
「正一」まではそのまま、「位」の「亻」と「稲」の「禾」と「荷」の「亻」と「社」の「礻」が画面から隠されていたのでした。
隠されている文字をカタカナで無理やり続けて読むと「イイネ」となり、今風になりますけどまさかね。




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