2020年5月16日土曜日

豆本 狐の嫁入 その15




 奥付

(読み)
明治九年十月五日出版御届定價壱銭五厘
南本所外手町十八番地
長崎縣士族
著者 村井静馬
馬喰町四丁目十八番地
東京府平民
出版人 小森宗次郎


(大意)



(補足)
 この豆本は同時期に出版されたものと比べると保存状態がよかったようで、奥付の文字がくっきり角もかすれることなくしっかりしています。豆本の内容のほうも色あせはなくとてもきれいです。

 この時代、このような豆本は廉価で女、子どもが手にすることが多かったようですが、最初は年上の兄弟や親に教わりながら見て読んで声に出してまた読んでと、繰り返しながら文字や言葉をおぼえていったのでしょう。

 十返舎一九が「的中地本問屋」で本を仕上げる様子を面白おかしく綴っています。
これはまた別の機会に同じ形式で取り上げたい。
豆本もこの本の中のたくさんの(絵付きの)工程を経て出版されているわけですが、
それにしても壱銭五厘という破格の価格、これらの工房の方々の生活は大丈夫だったのかと心配してもしょうがないことをフトおもってしまいます。

 この豆本シリーズを取り上げだしてから、豆本の版木がネットで紹介されてないかしつこく探していたのですが、なかなかヒットしませんでした。
しかし念ずれば通ず。
兵庫県立歴史博物館に見つけました。
草双紙「鼡の嫁入」とその版木全丁分があるのです。
残念なことにここのHPのものでは解像度が十分ではなく、是非とも国立国会図書館デジタルアーカイブ並みのものがほしい。
連絡交渉して見るつもりです。


裏表紙



おしまい。



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