2020年5月14日木曜日

豆本 狐の嫁入 その13




 P.11

(読み)
本と奈くく王ん尓んして
ほどなくかい にんして

つ起みち多満のやう奈る
つきみちたまのようなる

おとこの子をうミ多る
おとこのこをうみたる

くら(太郎)のよろこび大 可多
くら    のよろこびおおかた

奈ら須゛奈を可須゛太郎
ならず なをかず たろう

と奈づけ
となずけ

ての
ての

うち
うち

の多満
のたま

ちやう阿い
ちょうあい

奈し日可つ
なしひかず

も多ち个連ハ
もたちければ

ミやまゐりとて8
みやまいりとて


王子 い奈りより
おうじいなりより

つ満こひへさん
つまごいへさん

个い奈し
けいなし

むし
むし

ふう
ふう




奈ど
など

して
して

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(大意)
ほどなく懐妊して、
月も満ち珠(たま)のような男のが生まれました。
くらの喜びようは大変なものでした。
名を一太郎(かずたろう)と名付け、
手のうちの珠を寵愛しました。
日が経ち宮参りのために、
王子稲荷より妻恋神社に参詣し、
虫封じ(むしふうじ)などをしました。



(補足)
 わからないところが多く、そのようなときは音読を繰り返します。
おけげでなんとか大意の文章で意味も通じているはずですが、フィクションの可能性も否定できません。心配・・・

「く王ん尓ん」(かいにん)、ここだけ抜き出して何と読むかとなったら、堪忍(かんにん)などとも読めてしまうので、悩んだかも。話の内容と絵からして懐妊しかありません。

「大可多奈なし」(大方無し)、はなはだしい。並大抵ではない。

「可須゛太郎」(かずたろう)、初めての珠のような男の子なので「一太郎」としたのでしょう。

「てのうちの多満」、「手のうちの珠」としましたが、違うかも・・・

「ちやう阿い」、結構悩みました、夜もうなされるくらい・・・。前後を含めて音読を繰り返し、はたとひらめきました。そういえば「寵愛」という言葉があった。

「日可つ」、この部分が「日うら」と見えてしまって、そうなると意味がサッパリです。
赤ちゃんが誕生して宮参りに行けるようになったのだから、日にちが経っているということなので、
これまた、あっそうかと「ひかず」と理解した次第。

「王子稲荷神社」も「妻恋神社」も江戸時代から有名でした。広重が王子稲荷神社の浮世絵をたくさん描いています。

 最後にわからなかったのがここです。
ベッドに入ってからも何と読むのかと悩みつつ寝入り、朝目覚めてからは最初にここの文字が浮かぶ始末。「む」の次がかすれていてわからないのですが、何遍も前後で似たようなところがないものかと探したら、すぐ右上隣に「奈し」とあるではないですか、この「し」もかすれている。しかし文章の最後なので勢いで「参詣なし」と読めてしまいます。なのでこの箇所は「なし」としました。

 その次の「事」にみえるところ、これも困った。上級者は当たり前のようにスラスラ読んでしまうでしょう。わたしのような初心者はいちいちつかえてしまうのです。「ふう」か「ふか」とも読めるなと気づいて、わからないところをつないでみると「むしふうし」となります。
何度かその音を繰り返し、宮参りで神社に参詣したら何かしらのお願いことを祈るものです、「むしふうじ」とひらめきました。うん、ちゃんと意味が通じる。めでたしめでたし。


P10P11見開き。



 頁をまたいで、旦那さんのお尻部分の着物の色を忘れてしまいました。頁をまたぐと別刷りの木版になるのでミスが目立つ箇所です。背景の薄藍色も異なってます。

 左端の女将さんはお店にも出ていたのでしょうか。前掛けをしてます。着物はやはり引きずってます。

 わからないところだらけでしたが、なんとか全部意味の通った大意ができてひと仕事した気分。
よかったよかった。


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