2020年5月18日月曜日

豆本 鼡の嫁入 その2




P.1

(読み)
「こゝ尓ねづ
 ここにねず

ミやちう の  
みやちゅうの

春けとて
すけとて

び奈んの
ぶなんの

きこへあり○
きこえあり

○ま多お奈じ
  またおなじ

奈可満の
なかまの

もちやの
もちやの

む春め尓
むすめに

お志つと
おしずと


「本ん尓
 ほんに

サウテ
そうで

こさい
ござい

ます
ます





「こゝ者さ
 ここはさ

むこうさへ
むこうさへ

志やう
しょう

ち奈
ちな

らこ
らこ

ちらハ
ちらは

いゝ
いい








「春こしも
 すこしも

可やぶん奈しさ
??ぶんなしさ



(大意)
ここに鼠屋忠之助という
美男の聞こえ高い男がおりました。
また同じ仲間の餅屋の娘に
お静と(いう)


「本当におめでとうございます」

「ここはさ、向こうさへ承知なら
こちらはいいのさ」

「少しも(かまや)しないさ」


(補足)
 「ねづミやちうの春け」を「鼠屋忠之助」としましたが、もっとよい名前がありそうです。
本文の出だしに「 がついてますが、会話ではないのに変です、間違えたのかも。

 会話体の「 がついたものが3箇所あります。
右下の部分の一行目、「こゝ者さ」としましたが、よくわかりません。
「者」がにじんでいてそれらしくはみえますが、このあとの「向こうさえ承知なら」につながる言葉としてはどんなものがあるでしょうか。

左下「春こしも」のあとが、「可やぶん」と読めるのですが、意味が通じません。
それとも「春こし/もう/やぶん/奈しさ」と区切る?
会話自体は「少しもかまわないさ」といった感じだとおもいます。
うーん、宿題にします。


 めでたい話をしているはずですが、背景の暗い淡薄緑色のためか、ちっとも明るくなく何か悪巧みをしている趣です。

 大黒様に使える者(神使)はねずみ、それも白いねずみがよくでてきます。
中勘助の「銀の匙」に、勘助が幼少の頃、散歩するときでさえおんぶして歩いてくれた叔母がいました。この叔母、家の米びつをねずみに空っぽにされ続け、家が破産してしまったというほどの信心深いひとでした。この鼠が白かったのでなおさら大切にし、神様の使いだからと追い立てなかったのでした。

 三人?とも着込んでいます。奥さんの首周りは襟巻きでしょうか。



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