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(読み)
本と奈くく王ん尓んして
ほどなくかい にんして
つ起みち多満のやう奈る
つきみちたまのようなる
おとこの子をうミ多る
おとこのこをうみたる
くら(太郎)のよろこび大 可多
くら のよろこびおおかた
奈ら須゛奈を可須゛太郎
ならず なをかず たろう
と奈づけ
となずけ
ての
ての
うち
うち
の多満
のたま
ちやう阿い
ちょうあい
奈し日可つ
なしひかず
も多ち个連ハ
もたちければ
ミやまゐりとて8
みやまいりとて
8
王子 い奈りより
おうじいなりより
つ満こひへさん
つまごいへさん
个い奈し
けいなし
むし
むし
ふう
ふう
し
じ
奈ど
など
して
して
[次へ]
(大意)
ほどなく懐妊して、
月も満ち珠(たま)のような男のが生まれました。
くらの喜びようは大変なものでした。
名を一太郎(かずたろう)と名付け、
手のうちの珠を寵愛しました。
日が経ち宮参りのために、
王子稲荷より妻恋神社に参詣し、
虫封じ(むしふうじ)などをしました。
(補足)
わからないところが多く、そのようなときは音読を繰り返します。
おけげでなんとか大意の文章で意味も通じているはずですが、フィクションの可能性も否定できません。心配・・・
「く王ん尓ん」(かいにん)、ここだけ抜き出して何と読むかとなったら、堪忍(かんにん)などとも読めてしまうので、悩んだかも。話の内容と絵からして懐妊しかありません。
「大可多奈なし」(大方無し)、はなはだしい。並大抵ではない。
「可須゛太郎」(かずたろう)、初めての珠のような男の子なので「一太郎」としたのでしょう。
「てのうちの多満」、「手のうちの珠」としましたが、違うかも・・・
「ちやう阿い」、結構悩みました、夜もうなされるくらい・・・。前後を含めて音読を繰り返し、はたとひらめきました。そういえば「寵愛」という言葉があった。
「日可つ」、この部分が「日うら」と見えてしまって、そうなると意味がサッパリです。
赤ちゃんが誕生して宮参りに行けるようになったのだから、日にちが経っているということなので、
これまた、あっそうかと「ひかず」と理解した次第。
「王子稲荷神社」も「妻恋神社」も江戸時代から有名でした。広重が王子稲荷神社の浮世絵をたくさん描いています。
最後にわからなかったのがここです。
ベッドに入ってからも何と読むのかと悩みつつ寝入り、朝目覚めてからは最初にここの文字が浮かぶ始末。「む」の次がかすれていてわからないのですが、何遍も前後で似たようなところがないものかと探したら、すぐ右上隣に「奈し」とあるではないですか、この「し」もかすれている。しかし文章の最後なので勢いで「参詣なし」と読めてしまいます。なのでこの箇所は「なし」としました。
その次の「事」にみえるところ、これも困った。上級者は当たり前のようにスラスラ読んでしまうでしょう。わたしのような初心者はいちいちつかえてしまうのです。「ふう」か「ふか」とも読めるなと気づいて、わからないところをつないでみると「むしふうし」となります。
何度かその音を繰り返し、宮参りで神社に参詣したら何かしらのお願いことを祈るものです、「むしふうじ」とひらめきました。うん、ちゃんと意味が通じる。めでたしめでたし。
P10P11見開き。
頁をまたいで、旦那さんのお尻部分の着物の色を忘れてしまいました。頁をまたぐと別刷りの木版になるのでミスが目立つ箇所です。背景の薄藍色も異なってます。
左端の女将さんはお店にも出ていたのでしょうか。前掛けをしてます。着物はやはり引きずってます。
わからないところだらけでしたが、なんとか全部意味の通った大意ができてひと仕事した気分。
よかったよかった。