P.4
(読み)
もゝ太郎 と奈づけ
ももたろうとなづけ
てのうちの多満と
てのうちのたまと
やういくせし可
よういくせいか
本ど奈くせいじん
ほどなくせいじん
奈しもも太郎
なしももたろう
ふ多り尓いふ
ふたりにいう
やう王しハ
やうわしは
を尓可゛し満
おにが しま
へ王多りた
へわたりた
可らをとり
からをとり
可へりておふ
かえりておふ
多り尓よろこ者せん
たりによろこばせん
といふゆへそのやうゐ尓○
というゆえそのよういに
(大意)
桃太郎と名付け、手の内の玉として養育しました。
程なくして成人し、桃太郎は二人に向かって
「わしは鬼ヶ島へ渡り、宝を取って帰りお二人に喜んでもらいたい」
と言うので、その用意に
(補足)
1行目「もゝ太ろ」の「ろ」に見えるのは、「郎」のくずし字です。
5行目にも「もゝ太ら」とあり、今度は「ら」に見えるのが「郎」のくずし字です。
「てのうちの多満」、目に入れても痛くないくらい可愛がり愛すること。
「やういく」、旧仮名遣い。養育(よういく)。最後の行にも「やうゐ」(ようい)が出てきます。
「いふやう」、言うよう。言いよう。言う様。
「王しハ」「王多り」、変体仮名「王」(わ)、何度か出てきました、「已」に似てます。
「を尓可゛し満」、この文字の並びを見ても「鬼ヶ島」とはピンときません。
今度はジジイがビックリしているところです。
七福神の誰かさんにちょっと似てます?
胡座(あぐら)を組んでいるのか、足は見えませんが、手のひらを開ききり、
歌舞伎の驚きの場面の定石、一方の手を頭の斜め後方に引き、もう一方を斜め前方に出すという、そのままの絵になってます。
ちゃんちゃんこの渋赤の横縞がアクセントになってます。
見開きの左側の頁で右端に見えるのは、桃の種が割れた片割れと、桃太郎の右足。
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