2020年3月23日月曜日

豆本 桃太郎噺 その4




 P.3

(読み)
[つゝき]せし可゛いつくより可
 つづき せしが いつくよりか

もゝひとつ奈可゛連き多る
ももひとつなが れきたる

ゆへうちへもち可へり
ゆえうちへもちかえり

ふ多りで多べんと王り
ふたりでたべんとわり

しところ奈可より
しところなかより

多゛いゝ とし多る
だ いだいとしたる

おとこの子む満
おとこのこむま

連し可バふ多りハ
れしかばふたりは

よろこびおふ
よろこびおお

可多奈ら須
かたならず

もゝより
ももより

いでしゆへ
いでしゆえ


(大意)
どこからか桃がひとつ流れてきましたので、
家へ持ち帰り二人で食べようと割ったところ
中より大きな男のが生まれました。
二人の喜びようは大変なものでありました。
桃より生まれたので、


(補足)
「より」が何度も出てきますが合字の「ゟ」は使ってません。

変体仮名「連」(れ)が2箇所あります。また変体仮名「多」は何箇所も出ています。

変体仮名「王」(わ)は「已」に似ています。

「む満連し可バ」、「生(う)まれる」は「むまれる」とも表記されるとありました。

「おふ可多奈ら須」、「大方ならず」。
辞書で調べました。「大方の予想通り」の例であっそうかとわかりましたが、
「大方ならず」は「非常に、なみなみならない」とあります。

 この頁は見開きの右側です。左側には驚いているじじいがいます。
生まれたばかりの桃太郎はまるで若力士そのもの。

ここでも婆さんの描きこまれ方がとても細かく丁寧です。
髪の毛の一本一本といい、たすき掛けの後ろのちょうちょ結び、
両手の指は開き、両足の指が床をしっかりとらえ、体を支えているさまは、金剛力士像みたい。

 背景の辛子色がきいています。


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