P.28
(読み)
四 不落離子
よん ぶらんりんこ
ぶら里んこ春る尓ハ
ぶらりんこするには
よこ木尓こしをかけ阿しをのバし
よこぎにこしをかけあしをのばし
こし尓ち可ら越い連天あしを
こしにちからをいれてあしを
ひけバこ奈たへ
ひけばこなたへ
すゝミ
すすみ
のバしてち可らを
のばしてちからを
いるれバむ可ふへあ可む也
いるればむこうへあがむなり
このてうし をよくお本゛
このちょうしをよくおぼ
由連バうんどうハ
ゆればうんどうは
志ぜんと
しぜんと
奈るもの奈り
なるものなり
(大意)
四 不落離子
ブラリンコをするには
横木に腰をかけ脚を伸ばし
腰に力を入れて脚を
引けばこちら側に
進み、
伸ばして力を
入れれば向こう側へ上がる。
この調子をよく覚えれば
運動は
自然と
できるようになり続く。
(補足)
子どものときに誰もが公園などで遊んだブランコの原型です。
はじめて知りました。
項目名のフリガナには「ブランリンコ」とありますが、説明文では「ぶら里んこ」とあり、「リ」がなくなって、現在の「ブランコ」になったのでしょう。広辞苑では異なる説明がありました。
「ち可ら越い連天」、ここだけ変体仮名がたくさんです。
「いるれバむ可ふへあ可む也」の「あ可む也」が読みがよくわかりません。この部分の意味としては「上がる」があてはまると推測しました。
変体仮名「本゛」(ぼ)、「不」のような形です。
前頁の図では遠近法の消失点は中央でしたが、ブラリンコでは消失点は右側にあるようです。
立体感があって力を入れて前方に漕ぎ出す感じがこちらも「ウ~ン」とうなりそう。
「小学必携体操図解」は同じ著者(田邉)が、「新兵体術教練」を子ども向けに書き直し刊行したものですが、同じブラリンコは「新兵体術教練」ではこのような図になってます。
明治新政府が兵式体操を学校教育に持ち込んだことを発端に、現在の小中学校、高校の体育教育に影響を及ぼしていることが、この「小学必携体操図解」を読むとよく理解できます。
子どものときにブランコにのり、無邪気に力いっぱいこぎ、気持ちよくその浮遊感と風を切る快さは体に染み込んでますし、子どもを育てるときには喜びはしゃぐ息子たちの背中を押してやったものです。それが富国強兵をめざして将来の兵隊を育成するためのひとつの運動であったとは、心穏やかではなく、朗らかな笑顔は一転引きつってしまいます。
心地よい運動は無邪気なまま楽しみたいものですし、そう願いたい。
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