2020年3月22日日曜日

豆本 桃太郎噺 その3 




 P.2

(読み)
む可しゝ
むかしむかし

さるい奈可尓ぢゝいと
さるいなかにじじいと

者゛ゝアとふ多り春ミ
ば ばあとふたりすみ

个る可゛ある日者゛ゝアハ
けるが あるひば ばあは

川 尓せん多くして可へらんと[次へ]
かわにせんたくしてかえらんと


(大意)
昔々、ある田舎にじじいとばばあがふたり住んでおりました。
ある日、ばばあは川で洗濯をして帰ろうとすると


(補足)
 定価1銭5厘の豆本とはいえ、まったく手抜き感のない色刷りの絵です。
ばばあの「おやまぁ」と驚いている表情と両手の所作、頭髪の線、
洗濯桶にとめ輪も丁寧に描いています。川岸の凸凹も。
流れてくる桃は大きいけれどドンブラコ感があります。

「春ミ个る可゛」、変体仮名「春」は「す」+「て」のような感じ。
変体仮名「个」は「々」に似てます。
「る」は変体仮名「留」ですが、一画目の横棒がありません。

「者゛ゝア」、変体仮名「者」は「む」のような感じで書き出して、左の小さなクルッと丸をかいたあとは右下に適当に流れる。

「尓」は少し崩れると筆記体の「y」のようになります。

変体仮名「多」(た)は「さ」の一画目横棒がなくなった形。

 きれいな絵ですね。


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