2023年4月30日日曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その10

 

P12P13 個人蔵

(読み)P12

So the devils consulted together and

agreeing that the lump on his face,

which was a token of wealth, was

what he valued most highly, demand-

ed that it should be taken. The old

man replied,

(大意)

そうして悪鬼たちはみんなで相談し次のようにしました。

老人の頬の瘤は富のしるしだが、老人がもっとも大事にしているものである。

それをとってしまうことを要求しよう。

老人は応えました。

(補足)

 爺さんは瘤をとられて、喜んでいるのか悲しんでいるのか茫然自失の表情です。こんなときでも貴重な斧は腰の後ろに帯紐にさしたままでした。

 ここの部分、わたしの記憶にある瘤取りジジイの噺にはなかった展開です。


2023年4月29日土曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その9

P10P11 個人蔵

(読み)P10

but for fear you might not

come you must give us a

pledge that you will".

(大意)

「だが恐ろしくておまえは来ぬかもしれぬから、おまえは

何か大事なものをここにおいていけ。」

(補足)

 もうすぐ夜明けなのか、明けの三日月が山の少し上に上がってきました。空のなんとも微妙な夜明け前の色がきれいですし、その表現力がたいしたものです。

 まだ飛行機のない時代、爺さんは両手を飛行機のように広げて焚き火の周りを動き回って踊っている様子が楽しそうです。悪鬼たちも身なりや見てくれはぎょっとしますが、かれらの目をひとりひとり確かめてみると驚き楽しんでいる表情になっています。爺さんほんとに楽しそう♪

 

2023年4月28日金曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その8

P8P9 個人蔵

(読み)P9

for it I will have a dance too", crept

out of the hollow tree, and with his

cap slipped over his nose and his

axe sticking in his belt began to

dance. The devils in great surprise

jumped up saying, "Who is this";

but the old man advancing and re-

ceeding, swaying to and fro, and

posturing this way and that way,

the whole crowd laughed and en-

joyed the fun, saying, "how well

the old man dances, you must al-

ways come and join us in our sport:

(大意)

「わしも踊るのだ。」木の洞(うろ)からはい出てくると、

かぶっていた帽子は鼻までずり落ち、腰紐に斧をさしたまま踊り始めました。

悪鬼たちは大いに驚き跳び上がって「こいつは何者だ」と言いましたが、

老人はかまわずに前に進んだり後ろに下がったり、フラフラとあちらこちらへ行ったり

勝手かまわず動き回りました。悪鬼どもたちは皆大笑いで楽しみました。

「おい老人、おまえの踊りはなんてうまいんだ、おまえはいつも来てくれ、一緒に

宴会を楽しもうじゃないか」と言うのでした。

(補足)

 この見開きに挿絵はなかった分、次の頁の挿絵はどんなものか楽しみです♪

 

2023年4月27日木曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その7

P8P9 個人蔵

(読み)P8

and began to drink wine and make

merry just like human beings. They

passed the winecup around so often

that many of them became very drunk.

One of the young devils got up and

began to sing a merry song and to

dance; so also many others; some

danced well, others badly. One said,

we have had uncommon fun to-night,

but I would like to see something

new". The old man losing all fear,

thought he would like to dance, and

saying "let come what will, if I die

(大意)

酒を飲み始め、人間たちのように陽気に騒ぐのでした。

彼らは酒を何度も回し飲みしたのでほとんどの悪鬼たちは

ひどく酔ってしまいました。若い悪鬼たちのひとりが立ち上がり

陽気な歌を歌い始めそして踊りだしました。まわりのたくさんの悪鬼たちも

上手に踊るものもいれば、不格好に踊るものもいました。ひとりの悪鬼が

「今夜は久しぶりに楽しかったけど、おれは何か新しいものを見てみたいぞ」と言いました。

老人は恐怖はすっかりなくなっていて、自分も踊りたいとおもっていました。そして

「死んだっていいから、したいようにするぞ」

(補足)

 挿絵のないページはやはりさみしいですね。活字がほんとに鮮明です。

 

2023年4月26日水曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その6

P6P7 個人蔵

(読み)P7

They kindled a fire,

so that it became as

light as day.They

sat own in two

cross rows,

(大意)

彼らは薪に火をつけたので、あたりは昼間のように明るくなりました。

そして二重に車座になって座り、

(補足)

 薪に照らされ空に向かって明かりがさすので悪鬼たちの表情が生き生きと下からの光でスポットライトをあび、なんとも入念な仕上げの顔になっています。日本は古くから妖怪天国でこれくらいの人数?だったらわけのないことでしょう。中央で踊っている悪鬼のスカートにも濃淡をつけていて生地が翻る感じがよくでています。

 

2023年4月25日火曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その5

P4P5 個人蔵

(読み)P4

crowd of strange looking beings. Some

were red aud dressed in green clothes;

others were black and dressed in red

clothes; some had only one eye;

others had no mouth: indeed it is

quite impossible to des-

cribe their varied

and strange

looks.

(大意)

奇妙ないでたちをした生き物の大群衆を(見たのでした。)

あるものは赤いからだに緑色の衣をまとい、他の者たちは

黒いからだに赤い衣をまとってました。そして何人かはひとつ目で

口がない者もおりました。風変わりで珍妙な彼らの容姿はとても

伝えきれるものでなかったのです。

(補足)

 闇夜にうかぶ文章が不気味ですが、背景のあやしい暗闇の濃淡と悪鬼たちの松明でぼんやりとみえる森の樹々がいっそう怖さを深めています。

 森や悪鬼たちの背景の濃淡やぼかしの表現がここでは不気味で怖いようなものになっていますが、いっぽうではさわやかなすぅ~と胸に入ってくるような表現もあります。摺師の技は奥が深いものだと感じ入ります。

 

2023年4月24日月曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その4

P2P3 個人蔵

(読み)P3

to cut wood, when the rain began to

pour and the wind to blow so very

hard, that finding it impossible to

return home, and filled with fear, he

took refuge in the hollow of an old

tree. While sitting there doubled up

and unable to sleep, he heard the con-

fused sound of many voices in the

distance gradually approaching to

where he was. He said to himself,

"how strange! I thought I was all

alone in the mountain but I hear the

voices of many people"; so taking cour-

rage he peeped out, and saw a great

(大意)

(老人は)木を伐かり(に山へ行きましたが)、雨が降り始め

風も強く吹きだしはじめました。帰り道がわからなくなって、

不安がつのり、老人は一本の古木の洞(うろ)に避難しました。

その中に体を二つに折って身をひそめ眠ることもできずにいると、なんだかみょうな大勢の

声が聞こえてきました。それらは少しずつ老人の方へと近づいてくるのでした。

老人はひとりつぶやきました。「なんてこった!山の中でひとりだとおもっていたのに、

大勢の声が聞こえるぞ」。勇気をふりしぼって洞からのぞいてみると、

(奇妙ないでたちをした生き物の大群衆を)見たのでした。

(補足)

 洞の中の老人の表情は雨風から避難できたためかホッとして柔和です。外は大雨ですがちりめん本だとその雨も本物の雨のような表情に見えます。「doubled up」今で言う体育座りですが、なるほど両膝を両手で抱え込み窮屈そう。古い大木とその洞は丁寧に描かれています。