P18P19 国立国会図書館蔵
P18
(読み)
将 門 ハ大 ひのやさき尓可ゝりて
まさかどはだいひのやさきにかかりて
よハりし所 をひてさと
よはりしところをひでさと
す可さ須立 よ川てくひを
すかさずたちよってくびを
者年个れハふしきやきり口
はねければふしぎやきりくち
よりちしほこくうへ
よりちしおこくうへ
ふきあけ七 ツの
ふきあげななつの
多満しいとひ出る
たましいとびでる
「多満しい
たましい
七 人
しちにん
つ連尓て
づれにて
とひ行
とびゆき
さき本うの
さきぼうの
多満しゐ
たましい
まちやれ奈
まちやれな
つきゑゝを
つきええを
志ら袮へ
しらねぇ
本゛ん\/
ぼ んぼん
\/\/\/\/
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(大意)
将門は観世音菩薩の矢先にあたって弱っているところを、秀郷すかさず近寄り首をはねると、不思議なことに、切り口より血潮虚空へ吹上げ、七ツの魂が飛び出た。
魂が七人連れで飛んで行く。
魂「先棒の魂、ちょっと待ってくれや、付きえぇをしらねぇのか」
ボンボンボンボンボンボンボン(「心」の飛び出す音)
(補足)
「大ひ」、『だいひ 1【大悲】〘仏〙
① 衆生の苦しみを救おうとする仏・菩薩の広大な慈悲の心。
② 観世音菩薩の別名』
「七ツの多満しい」、七ツの玉が、田沼の七曜星の紋をいよいよ強く暗示しているとありました。
「さき本う」、『さきぼう ―ばう【先棒】
② 物事を先頭に立って行う人。
③ 駕籠(かご)の棒の前の方を担ぐ人。先肩(さきかた)。 ↔後棒(あとぼう)』
田沼一味の処分に先後のあったことを暗に示しているのだろうとありました。
将門、首をはねられながらも歌舞伎の見得を決めているような仕草(左手に刀、右手は手のひらがパー)です。そしてはねられた首の将門の目は「にらみ」で、胴体と離れながらも決めています。
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