2024年11月29日金曜日

江漢西遊日記一 その16

P19 東京国立博物館蔵

(読み)

走 ルを見ル爰 より下 リ坂 ニて軽(カル)井沢 と云 処

はしるをみるここよりくだりざかにて  かる いさわというところ


人 家あり亦 山 ヲ越へてビンノ沢 と云 処  少

じんかありまたやまをこえてびんのさわというところしょう


々  人 家アリ観 音 堂 アリ夫 より平 井村 と

しょうじんかありかんのんどうありそれよりひらいむらと


云 を過 て漸  ク三嶋 明  神 の前 尓出ル爰 ハ

いうをすぎてようやくみしまみょうじんのまえにでるここは


往 来 なり此 山 路 皆 カヤ生  して此 木能

おうらいなりこのやまみちみなかやしょうじてこのきの


ミ尓して大 木 なし右 に箱 根山 左  ニ天城

みにしてたいぼくなしみぎにはこねやまひだりにあまぎ


山 見へて往 来 能人 ニ不逢 天 曇  カ雨天

さんみえておうらいのひとにあわずてんくもりかうてん


能日狼   路 ニ出て居ルよし伊豆ハ山(ヤマ)国 ニて

のひおおかみみちにでているよしいずは  やま くににて


是 より下 田へ往(ユク)尓天城(アマキ)を越 ル也 三嶋 ヨリ

これよりしもだへ  ゆく に   あまぎ をこゆるなりみしまより


沼 津ニ至 り狩野川 とて竪 に流 ルる河 アリ

ぬまずにいたりかのがわとてたてにながるるかわあり

(大意)駄文のつづき

 そのあたり山深く鹿など見ながら、ここからはずっと下りになる。

軽井沢、ビンノ沢、平井村と下るにしたがい人家が多くなり、

漸く、三嶋明神にでるとそこはもう人通りのある往来であった。


 歩いてきた山路は、曇りや雨の日には狼が出るという。

(補足)

「不逢」、原文には間にレ点が入っています。

 この地図で、軽井沢・平井村・鬢ノ沢が確かめられます。なるほど山深そう。

この時代はまだまだ狼がゴロゴロいたようです。

 

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