2024年11月2日土曜日

時代世話二挺鼓 その18

P12P13 国立国会図書館蔵

(読み)

将 門 ひてさと尓

まさかどひでさとに


志つけられぐ川と

しつけられぐっと


せきこんて

せきこんで


うぬ可゛で尓者゛けを

うぬが でにば けを


あらハし

あらわし


王れまことハ

われまことは


す可゛多可゛七 ツ

すが たが ななつ


ある可らかく

あるからかく


者や王さ也

はやわざなり


なんじハ

なんじは


よもや

よもや


この


ま年ハ

まねは


でき

でき


まいと

まいと


七 ツの

ななつの



可多

がた



あら

あら


ハし

わし






「何 と

 なんと


きめ う可

きみょうか


「何 と

 なんと


きめ う可

きみょうか


「何 ときめ う可

 なんときみょうか


「何 と

 なんと


きめ う可

きみょうか


「何 と

 なんと


きめ う可

きみょうか


「何 と

 なんと


きめ う可

きみょうか


「何 と

 なんと


きめ う可

きみょうか


(大意)

 将門、秀郷にやり込められ、ひどくあせってしまい、みずから化けている姿をあらわし、

「おれは本当は姿が七ツあるから、このような早業ができるのだ。お前はよもやこのまねはできまい」と七ツの姿をあらわしてみせる。

将門の分身「どうだ見事であろう」以下同台詞六ツ略。

(補足)

「志つけられ」、『しつ・ける【仕付ける・躾ける】⑥ やっつける。「千代歳さまに―・けられて無念な,敵取つて下んせ」〈浄瑠璃・冥途の飛脚•中〉』

「せきこんて」、『せきこ・む【急き込む】ひどく心がせく。あせってことをする。「―・んで話す」』

 ここでも分身たちは微妙に(とくに表情を)変化させていて(左端分身は笏を振り上げている)、単純な分身の術より迫力ありです。

 この黄表紙、ここまで読んできておもったのですけど、この本の摺りはどうやら初版に近いものではないかと。文章もですが、どの彫りも線がくたびれてなく鮮明でクッキリです。

 

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