P12P13 国立国会図書館蔵
(読み)
将 門 ひてさと尓
まさかどひでさとに
志つけられぐ川と
しつけられぐっと
せきこんて
せきこんで
うぬ可゛で尓者゛けを
うぬが でにば けを
あらハし
あらわし
王れまことハ
われまことは
す可゛多可゛七 ツ
すが たが ななつ
ある可らかく
あるからかく
者や王さ也
はやわざなり
なんじハ
なんじは
よもや
よもや
此
この
ま年ハ
まねは
でき
でき
まいと
まいと
七 ツの
ななつの
す
す
可多
がた
を
を
あら
あら
ハし
わし
て
て
ミ
み
せ
せ
る
る
「何 と
なんと
きめ う可
きみょうか
「何 と
なんと
きめ う可
きみょうか
「何 ときめ う可
なんときみょうか
「何 と
なんと
きめ う可
きみょうか
「何 と
なんと
きめ う可
きみょうか
「何 と
なんと
きめ う可
きみょうか
「何 と
なんと
きめ う可
きみょうか
(大意)
将門、秀郷にやり込められ、ひどくあせってしまい、みずから化けている姿をあらわし、
「おれは本当は姿が七ツあるから、このような早業ができるのだ。お前はよもやこのまねはできまい」と七ツの姿をあらわしてみせる。
将門の分身「どうだ見事であろう」以下同台詞六ツ略。
(補足)
「志つけられ」、『しつ・ける【仕付ける・躾ける】⑥ やっつける。「千代歳さまに―・けられて無念な,敵取つて下んせ」〈浄瑠璃・冥途の飛脚•中〉』
「せきこんて」、『せきこ・む【急き込む】ひどく心がせく。あせってことをする。「―・んで話す」』
ここでも分身たちは微妙に(とくに表情を)変化させていて(左端分身は笏を振り上げている)、単純な分身の術より迫力ありです。
この黄表紙、ここまで読んできておもったのですけど、この本の摺りはどうやら初版に近いものではないかと。文章もですが、どの彫りも線がくたびれてなく鮮明でクッキリです。
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