2022年12月29日木曜日

舌切春ゞ免(小森宗次郎) その2

P1前半 国立国会図書館蔵

(読み)

「む可し\/

 むかしむかし


あるところ尓

あるところに


ふくゑもんとて

ふくえもんとて


ひとりのいんきやう

ひとりのいんきょ


さん可゛

さんが


あり

あり


ました

ました


よく春ゞめを

よくすずめを


あいし可いおき

あいしかいおき


けるある日◎

けるあるひ


◎る春の

 るすの


とき

とき


と奈り

となり


の□


(大意)

むかしむかしあるところに

福右衛門というひとりの

隠居さんがおりました。

大変に雀を可愛がっていました。

ある日、留守のとき隣の


(補足)

 1頁めから婆さんのまわりは文字だらけです。こんなのも豆本ではめずらしい。

「いんきやうさん」、隠居さん。旧仮名遣いは現代の文字遣いに比べると、古めかしいと言う前になんだか変でおかしな文字表現です。

明治20年前後の文字表現なのですが、もちろん元は変体仮名表現が底流にあるため、現在の平仮名を多く使おうとする編集方針は感じるのですけど、やはりポコっポコっと変体仮名が使われてしまっています。

 文末の記号から文頭の記号へと記号が一致するように読むのですけど、いい加減なことも多いです。

 意地悪ばあさんの顔つきがよく豆本にあるような婆さんとはちがってなかなか個性的であります。

絵全体はとてもよく描けています。

 

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