P42たち木の間を徒も流事
(読み)
◯たち木の間 を徒も流事
たちきのあいだをつもること
◯古連ハそ満奈とかくのことくうちま多より木
これはそまなどかくのごとくうちまたよりき
の春縁を見と越し候 てさてそ連より木のもと
のすえをみとおしそうろうてさてそれよりきのもと
まてうち天奈可さをな尓
までうちてながさをなに
本とゝいふ「此 木七 間 半 と云
ほどという「このきしちけんはんといい
(大意)
◯立木の長さを測る事
◯この方法は杣(そま)などが絵図のように内股より
木の末(すえ)を見通します。さてそれから木の元(もと)
までの長さはどれくらいになるか(測る)。
「この木の高さは7間半である
(補足)
「改算塵劫記」は国立教育政策研究所教育図書館貴重資料デジタルコレクションよりダウンロードしたものです。そこのHP解説に「安永2(1773)年に菊屋七良兵衛により刊行された『塵劫記』で,下河辺拾水が挿絵を入れています。目次を見ると,吉田光由『新編塵劫記』を基に作成されたものであることが分かります。」とあります。
初心者の私には読むのに時間がかかりました。塵劫記の書物はたくさんあり、翻刻もされています。しかし原文と対応のものはなかなかありません。
「たち木の間」、間(あいだ)のくずし字がわかりにくですがよくでてきます。
「徒も流事」、変体仮名「徒」(つ)、変体仮名「流」(る)。「積もる」は見積もるのと同意。
「古連ハ」、変体仮名「古」(こ)、変体仮名「連」(れ)。
「そ満」、変体仮名「満」(ま)、杣(そま)、きこり。
「ことく」、「こと」が一文字になっています。合字といいます。「ゟ」(より)はフォントがるのですが、「こと」はありません。
木の先端を「春縁」(すえ)(末)、根元を「もと」(元)といいます。変体仮名「春」(す)、「え」は変体仮名「縁」だとおもいます。あまりみたことがありません。
「見と越し候」、変体仮名「越」(を)。「候」は頻繁にでてきます。
「うち天」、変体仮名「天」(て)。「うつ」は杣のところから木の根元まで縄を(うって)測るということでしょうか。
「七間」、「間」が表題の「たち木の間」と同じくずし字です。「門」(もんがまえ)がかんむりのように上部の部品になって、中の「日」が下部の部品のように上下2つになる感じ。
ほんとにこんなふうにして木の高さを測ったのかどうかは疑問です。木こりなら見ただけでおおよその高さはわかるはずですから。それに木の重さなども。