2020年9月7日月曜日

豆本 舌切雀 その14

 


P.7


(読み)

ぢゞい尓

じじいに


つゞら

つづら



あげましやう

あげましょう



いへバ

いえば


(大意)

じじいに葛籠(つづら)を

あげましょうと

いえば


(補足)

「ぢゞい尓」、変体仮名「尓」はアルファベット筆記体の「y」にそっくりです。平仮名「に」はめったに使われません。


P6P7見開き


 踊っている若い娘雀は扇を舞い上げ、やや年増の雀は合いの手も楽しそう。

水色に紺の花模様、帯には梅の花模様、頭のテッペンにはお飾りがあります。

障子の桟も丁寧ですし下部の腰板部分も板目模様を描きいれてます。

大盆の上にはごちそうが、丸いのは煮物でしょう。

白い手の大きさと生々しさがきわだっています。


 三味線の糸巻き部分もしっかり描き、見開きのどの部分をながめまわしても手抜きなどは微塵もうかがえません。



2020年9月6日日曜日

豆本 舌切雀 その13

 


P.6後半


(読み)

あくるひ

あくるひ


ぢゞいハ

じじいは


可へらんと

かえらんと


いへバ春゛ゞめ可゛

いえばす ずめが


奈ごりを

なごりを


おしミ

おしみ



(大意)

あくる日

爺いは「帰ろう」と言えば

雀は名残をおしみ


(補足)

「可へらんと」、読みに悩む箇所です。

「おしミ」、平仮名「み」はめったにでてきません。ほとんどは「ミ」。



2020年9月5日土曜日

豆本 舌切雀 その12

 


P.6前半


(読み)

おゝ与ろこびで

おおよろこびで


春゛ゞめ可゛あつまり

す ずめが あつまり


ちゝいをもて奈し

じじいをもてなし


おどりつ

おどりつ


まいつきやう

まいつきょう


をつく

をつく


しける

しける


(大意)

大喜びで雀たちは集まりました。

爺いを踊りや舞でもてなし

つくしました。


(補足)

 この頁もすばらしい仕上がりです。

ふかふかのあたたかそうな座布団の柄も丁寧に描き、どっかと歓待をうける爺さんはニコニコ顔で楽しんでいます。しかし爺さんの着物の柄が来たときとは異なり、頭巾の色も変わりました。

 三味線を弾くお姉さん雀の声がピーチクパーチク聞こえてきそうな賑やかさ。

お姉さんたちの手の白さが引き立ちながらも、とてもリアルであります。


「春゛ゞめ」、ここでも「春゛」濁点がついています。何か意味がありそうなのですがわかりません。

「ちゝい」(じじい)、いろいろ言い換えて変化をもたせようとしているのでしょう。

「おどりつまいつきやうをつくしける」、踊りつ舞いつ興を尽くしける。

「しける」、「け」なのか変体仮名「个」なのか、少しにじんでしまっています。



2020年9月4日金曜日

豆本 舌切雀 その11

 


P.5下段

(読み)

そこへゆくと

そこへゆくと


うち

うち


与りも

よりも


いで

いで


ぢゞい

じじい


ミて

みて


これハゝ

これはこれは




(大意)

そこへ行くと

内からも出てきて

爺いを見つけ

これはこれは


(補足)

 母雀が両手を広げて「これはこれは」と歓待しているところです。

「うち与り」、「よ」は変体仮名「与」。「うち」は内側ですが「家」でも意味は通じます。

P4P5見開き

 この見開きの頁のつなぎも完璧であります。

子雀の両足の開きが180度で、左の裾の色抜けがちょっと気になりますけど、問題なしです。

隅々まで手を抜くことなくとても鮮明で良い仕上がりです。



2020年9月3日木曜日

豆本 舌切雀 その10

 


P.5上段


(読み)

やまを

やまを


多づね

たずね


けれバ

ければ


ひと

ひと


むら

むら


志げる

しげる


多けやぶ尓

たけやぶに


春ゞめのこへ可゛

すずめのこえが


志多りけれバ▲

したりければ



(大意)

山を尋ねたところ

こんもり茂った竹やぶに

雀の声が聞こえてきました。


(補足)

「ひとむら」は漢字にすると「一群」でしょうか。

変体仮名「春」は「す」+「て」のかたちににてますが、ここでは「十」+「て」です。


 雀の母娘、よく尋ねてきてくださいましたお爺さん、と母は手を振り広げ娘は手招くように歓待の様子です。でも母も娘もその手のなんと現実味あふれる大振りな描き方、ちょっとひきます。


 母の着物は縦縞模様、帯の丸柄、前掛けの格子、それにぽっくりのような上等の下駄を履いています。娘も母に負けじと三角格子の着物に赤い縮緬のような帯紐に渋黄の帯です。


 雀の母娘ともに頬の波横棒に黒丸がこだわりのよう、表紙でも描いています。



2020年9月2日水曜日

豆本 舌切雀 その9

 


P.4下段


(読み)

「志多きり

 したきり


春ゞめおや

すずめおや


どハ

どは


どこ多

どこだ


おやどはどこだ



(大意)

舌切雀

お宿はどこだ

お宿はどこだ



(補足)

 童謡で歌われる歌詞にもなっているので

ついつい節をつけて読んでしまいます。

 左端の着物姿はそのお宿のスズメさんです。



2020年9月1日火曜日

豆本 舌切雀 その8



P.4上段


(読み)

あさ者やく

あさはやく


おきて

おきて


志多くを

したくを


してむこうの

してむこうの


やまへ

やまへ


の本゛りて

のぼ りて


だんゞ と

だんだんと


さ可し

さがし


けれバやま

ければやま


ま多

また


(大意)

朝早く起きて支度をして

向こうの山へ登って

あちらこちらを探して

まわりました。

山また(山を)



(補足)

 この頁も色鮮やかくっきりであります。

爺さんの着ているちゃんちゃんこは前頁のものと色柄がにていますが、異なっています。

襟巻きもして暖かそう、フカフカちゃんちゃんこはお出かけ用なのでしょう。

あしもとは、白足袋に草鞋。

杖もしっかり握っています。


「だんゞと」、変体仮名「多」ではなく平仮名「た」を使っています。

現在では使わない言い回しですが、 次々に続くさま、あれこれ、かさねがさね、の意。