P2
(読み)
と奈りのけん
となりのけん
どん者゛ゝ可せん
どんば ばがせん
多くせんとこゝ
たくせんとここ
のへお起多るのり
のへおきたるのり
を奈めける可゛者゛ゝ
をなめけるが ばば
お本ひ尓者らを
おほいにはらを
多ち者さミを
たちはさみを
もつて春ゝめの
もってすずめの
志多をきり
したをきり
尓可゛し个るぢゝい
にが しけるじじい
可へり春ゝめの
かえりすずめの
ミへぬ尓と奈り尓
みえぬにとなりに
「志多
「した
きり
きり
春ゞめ
すずめ
おやどハ
おやどは
どこ多゛
どこだ
(大意)
隣のけちで欲深なババアが
洗濯をしようと
ここに置いた糊(のり)を
(子雀が)なめてしまいました。
ババアは大いに腹をたて
ハサミを持って雀の
舌を切り逃しました。爺が帰って
雀がいないと隣の家に
「舌切雀
お宿はどこだ
(補足)
文章全体が、背景の赤横縞に重なって少々読みづらい。
「けんどん」、漢字は「慳貪・倹飩」。つっけんどん。愛想のないこと。けちで欲が深いこと。などとあります。平仮名「け」がつかわれていますが、このあとには変体仮名「个」があります。
「こゝのへ」、「へ」は「辺」でしょう。この辺に置いておいた糊という感じ。
「お本ひ尓」、「不」のようにみえるのは変体仮名「本」(ほ)。
下部の「」部分、明治19年当時はこの歌詞の曲がもうあったのでしょうか。ついつい曲を無意識に重ねてしまいます。
絵は丁寧で杖には竹の節が描かれています。爺さんの羽織や袴の柄や色合いも素敵です。