2021年8月7日土曜日

豆本 新版狐の嫁入 その6

P6

(読み)

む春め

むすめ


お志ろ

おしろ


をもら

をもら


い多しと

いたしと


あづ起

あずき


めしあん

めしあん


をもつて※

をもって


※可起゛や可多へいゝいれ个る

 かぎ やかたへいいいれける


尓さつそくせうちの

にさっそくしょうちの


(大意)

 娘、おしろをもらいたいと

小豆飯庵をたてて

鍵屋方へ申し入れを行いました。

すぐに承知の

(補足)

 合印がどんぐりのような形です。屏風の絵の中に干し藁のようなものがあります。婚礼道中の絵でも鳥居の右側にありました。赤と緑色の籠が手前に二台あります。これは人用ではなく、お祝いの品々を運ぶためのものでしょう。

 子どもたちは豆本などを通して、婚礼の流れも学んでいったこととおもいます。

 

2021年8月6日金曜日

豆本 新版狐の嫁入 その5

P4

P5

P4P5パノラマ

(読み)

可起゛やふく

かぎ やふく


へもん可゛む

えもんが む


春めおしづ

すめおしづ


多満やの

たまやの


せがれこん

せがれこん


志゛らうへ

じ ろうへ


よめいり

よめいり


(大意)

鍵屋福右衛門の娘おしづ

玉屋の倅こん次郎へ

嫁入り

(補足)

 横幅の大きい絵は見てて飽きません。小藩の大名行列は真っ青なほどの豪勢な嫁入行列です。先頭から鳥居のあたりまでは、参道の木立をすすむ後ろ姿。鳥居から奥はこれからやってくるニコニコ顔の親戚一同、「稲荷社」の参道をくの字に折れて遠近感もたっぷりのうまい構図であります。新婦ののる籠を鳥居に重ねてちょいと隠すところが心憎い演出。

 

2021年8月5日木曜日

豆本 新版狐の嫁入 その4

P3

(読み)

この本??可

この???


じ尓て見そ

じにてみそ


め多る可起゛やの

めたるかぎやの


(大意)

この??にて

見初めた鍵屋の

(補足)

 お恥ずかしい、一行目がわかりません。うーん、ちとくやしい。

いかにも若旦那らしいたたずまい。長椅子に腰掛け脚を組んで、片方の草履は足元へそのまま、いやがおうにも目立ちます。小粋なんでしょう。おつきの小僧は傘を背負って、照れています。若旦那がデレデレでしょうがねぇなぁと・・・赤い提灯には「稲荷大明神」とあって、下部がやけに立派です。すだれもきれい。

P2P3見開き

 このような場面の鉄則ですが、二人の視線はバチバチッとぶつかってますし、下女までそうなっています。そうなってないのは小僧だけ。小僧の着物の色柄と傘をさす下女のそれとがおなじ色合いになっています。


 

2021年8月4日水曜日

豆本 新版狐の嫁入 その3

P2

(読み)

可起゛やふくへもん可゛む春

かぎ やふくえもんが むす


めお志ろを本やうの□

めおしろをほようの


□多めげじ与をつけ

 ためげじょをつけ


これもい奈りへまうて

これもいなりへまうて


ける

ける


「もし今 あいまし

「もしいまあいまし


多ハ多満やの

たはたまやの


王可多゛ん奈奈ん

わかだ んななん


と与い

とよい


おとこ

おとこ


でござ

でござ


りま須

ります


(大意)

鍵屋福右衛門の娘、

おしろを保養のため

下女をつけて

こちらもまた稲荷へお参りしました。

「もし、今会いましたのは

玉屋の若旦那ですよ、

なんと男ぶりのよいことで

ございましょう

(補足)

 きれいな絵です。雨が降ろうとふるまいと傘は必需品。もちろんお付きの下女が差し掛けています。下女は下女らしい身なり、娘のほうは江戸紫と一張羅、頭には赤いリボン?

 そばに二羽の鳥は鳩でしょうけど、ちょっと不格好、鳥を描くのは苦手な様子です。

文章に難しいところはなさそうです。

 

2021年8月3日火曜日

豆本 新版狐の嫁入 その2

P1

(読み)

明治十九年十一月二日内務省交付1366


多満やこん春け可゛せ可゛れ

たまやこんすけが せが れ


こんじらうハでいりのい

こんじろうはでいりのい


しやあづ起めし

しゃあずきめし


あんをつ連て者つ

あんをつれてはつ


午奈れバ

うまなれば


王子へ

おうじへ


さん可い

さんかい


せんとで

せんとで


可け个る

かけける


(大意)

 玉屋コン助の息子

コン次郎は出入りの医者

小豆めし庵を連れて

初午なので王子へ

お参りしようと

出かけました。

(補足)

 稲荷神社で行われる2月最初の午の日の初午祭。そとはちょうど梅の花が咲き始めました。

「あず起めしあん」、医者の名前でしょうか、とりあえず「小豆めし庵」としましたけど、わかりません。

 

2021年8月2日月曜日

豆本 新版狐の嫁入 その1

表紙

(読み)

新版狐の嫁入

しんぱんきつねのよめいり


綱島藏版

つなしまぞうはん

(大意)

(補足)

 綿帽子をかぶるは新婦、それを斜めに見上げるは新郎、その裃の紋を拡大してみると狐の顔というか頭部ではありませんか!ふたりとも目がきりりと釣り上がり顔長で狐です。新婦の着物柄は雷文繋とか卍繋といわれるものでありましょうか。筆でいちいちこれを描いていたのでは時間もかかるし、こんな複雑な柄を描いていたらどこかで間違えてしまいます。なので、これはきっとよくある方法、型紙があるはず。いい雰囲気です。

見返しはこのシリーズは朱印のみ。

見返しファンにはがっかり。

 

2021年8月1日日曜日

豆本 昔咄しかち\/山 その12

P12

P13

(読み)

P12下段

△けれ

 けれ


バうさ

ばうさ


ぎ多ぬ

ぎたぬ


きのふ

きのふ


年をふち

ねをぶち


こハし多ぬ

こわしたぬ


起ハ水 尓

きはみずに


P13下段

う起つ

うきつ


志づミつ

しずみつ


うちころ

うちころ


して可多

してかた


起をとり

きをとり


多りぢゝい

たりじじい


も大ひ尓

もおおい


与ろこび个る

よろこびける


めで多し\/\/

めでたしめでたしめでたし


(大意)

出たところ、うさぎは

たぬきの船をこわしてしまいました。

たぬきは浮いたり沈んだりしながら

溺れて殺し、かたきをとりました。

じじいも大喜びでした。

めでたしめでたしめでたし。


(補足)

 たぬきの座っている畳の色で文章が読みづらい。

「う起つ」、変体仮名「起」がかすれていますが、文章の流れからも、このあと5行目「起をとり」の「起」と同じ形です。

「うちころ」、「う」がにじんでしまってます。しかしよく見ると一行目の「う起つ」の「う」と同じです。

 唐辛子味噌を背中にぬられて、たぬきは背筋を伸ばし、両手もつっぱらかせています。しみて痛そう。赤いふんどしをのぞかせ、脱ぎかけた着物柄も簡単な柄ではないし、座布団はさらに縦横柄と手がこんでいます。そして左にみえる木の火鉢、木目も描いています。窓の外はたぬきの悶絶もどこ吹く風、凪いで静かに沖には帆掛け船が・・・

P12P13見開き

最後の頁まで大変に丁寧に描かれている豆本でした。

御届明治十九年九月廿日

馬喰町二丁目店十四番地

編輯兼

出版人 綱島亀吉


裏表紙はこのシリーズの池に遊ぶ亀。