2021年1月7日木曜日

豆本 禰この道行 その14

P12

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(読み)

△そ連より

 それより


王可゛个゛ふを

わが ぎょうを


者げミてふうふ奈可五

はげみてふうふなか


五むつましく

 むつましく


くらし个る

くらしける


めで多し\/\/

めでたしめでたしめでたし


(大意)

それからは

自分の生活を真面目に生き

夫婦仲は睦まじく

暮らしました

めでたしめでたしめでたし


(補足)

「王可゛个゛ふを者げミて」、変体仮名「个゛」と平仮名「げ」。

 トラ蔵の縦縞の着流しがP4のものと同じになりました。前頁のものは太いのと細い縦縞が交互でした。トラ蔵の左のにゃんこの手がかわゆい。膝にのせているのは子どもでしょうか。

最後の頁も実に細かく隅々まで念入りです。

おコマの左手には「文句どゝ逸」の宣伝をしています。

 

2021年1月6日水曜日

豆本 禰この道行 その13

P10P11見開き

P11拡大

後半

(読み)

尓可うく王い奈しこ連より个つ

にこうかい なしこれよりけっ


してふぎをつゝしミ身のおこ

してふぎをつつしみみのおこ


奈ひを多いせつ尓い多すべしと

なひをたいせつにいたすべしと


奈ごりをしくもりやう尓王可れ△

なごりおしくもりょうにわかれ


(大意)

後悔しました。この後より決して

不義を慎み身の行いを

大切に致すべしと

名残惜しくもりょうに別れ


(補足)

 前回も記しましたが、「可うく王い奈し」が??です。「い」としましたがこれはどうみても「ハ」です。「い」は他の行にたくさん出ててそれらと比べても異なります。「ハ」は4行目にあるだけですがこれはそっくり重なるくらい同じです。しかし「ハ」と読むと「可うく王ハ奈し」となって意味が不明です。意味が通じるようにするには「ハ」を「い」とすれば「後悔した」の意に理解できます。ウ~ン・・・どうなんでしょう。

「つゝしミ」、ちょっと読みづらい。

「多いせつ」、ここの「い」は先程の「ハ」の形に近いです。

「こ連より」「奈ごり」「りやう」、「り」が小さい「つ」に似たのもあり、ちょっと悩みます。

「王可れ」、平仮名「れ」、他の箇所では変体仮名「連」(れ)でした。

木が両脇に一本ずつあります。枝ぶりや葉はともかくとして、両方とも幹がやや稚拙に感じます。

他の部分は緻密で丁寧でうまいのに、この落差はどうしたことでしょうか。

 

2021年1月5日火曜日

豆本 禰この道行 その12

P10P11見開き

P11拡大

前半

(読み)

◯多りとら蔵 大 い尓よろこびあ

  たりとらぞうおおいによろこびあ


つく連いを奈し王可げのい多り尓て

つくれいをなしわかげのいたりにて


おこ満をつ連て可けおち奈し多る

おこまをつれてかけおちなしたる


をさ多゛めしうち尓てハうらんでゐ

をさだ めしうちにてはうらんでい


ら連る多゛ろうとざんげ者゛奈し

れれるだ ろうとざんげば なし


(大意)

(助けました。)トラ蔵は大いに喜んで

あつく礼をしました。若気の至りで

おコマを連れて駆け落ちしたことを

さだめし、家の方では恨んでい

られるだろうと懺悔ばなしに


(補足)

「ざんげ者゛奈し」、ちょっとよくわからないところです。次に「尓可うく王い奈し」と続くのですが、ここもどうも読みが不安です。

 トラ蔵おコマには笑顔が戻り、クマはりょうにかみたおされてあたふたあたふた。クマとりょうの柄が似ています。

 画像を拡大するとわかるのですが、絵の濃淡は銅版に描くペンの太さと線の本数(密度)で描いているのがわかります。親方はこういった根を詰める作業は弟子にまわしたのでしょうか。おコマの着物の柄もにぎやかです。

 

2021年1月4日月曜日

豆本 禰この道行 その11

8P9見開き

P9拡大

後半

(読み)

りゆうといふいぬいでき多り

りゆうといういぬいできたり


やう春をきゝてくまのふぎ

ようすをききてくまのふぎ


をいきどふり多ちまちく満

をいきどうりたちまちくま


を可ミ多をしおこ満を多すけ◯

をかみたおしおこまをたすけ


(大意)

りゅうという犬があらわれて

いきさつを聞きクマの不義

にいきどおり、あっという間に

クマを噛みたおし、おコマを助け


(補足)

「やう春」、変体仮名「春」(す)は「十」+「て」のようなかたち。「多すけ」のように平仮名「す」もあり、共存してます。平仮名「ま」も変体仮名「満」(ま)があり、両方共存。

文章拡大画像背景の草地が非常に細かい細線で描かれているのがわかります。

3人の着物の輪郭線がふっくらと柔らかいのが印象的です。

 

2021年1月3日日曜日

豆本 禰この道行 その10

P8P9見開き

P9拡大

前半

(読み)

くまハ多ん本゛奈可尓

くまはたんぼ なかに


てひといきつ可んとや春

てひといきつかんとやす


ミゐ多れ者゛とら蔵 き多

みいたれば とらぞうきた


りて可ど王可し\/   と大ご ゑ

りてかどわかしかどわかしとおおごえ


多て連バもとこゝろや春くし多る

たてればもとこころやすくしたる


(大意)

クマは田んぼの中で

ひと息つこうと休んで

いたところ、トラ蔵が追いついて

「かどわかしかどわかし」と大声で

叫びました。そうすると以前から

親しくしていた


(補足)

変体仮名「可」(か)がたくさんでてきます。「う」のようにみえたり「っ」のようにみえたりいろいろです。

「や」は現在では3画です。この当時は「つ」の最後をそのまま右回りに上がり「つ」を横切ってそのまま丸く流れます。

 クマはおコマを右脇にかかえ、左脚でおもいっきりトラ蔵を蹴飛ばしています。クマは半笑い、おコマはうちひしがれ、トラ蔵は無念の表情。三者をよく描き分けています。おコマのこのときの顔って、実際の猫も首根っこを持って吊り下げるとこんな顔になりますね。

3人の手足はちゃんとにゃんこのものになっています。

 

2021年1月2日土曜日

豆本 禰この道行 その9

P6P7見開き

P.7拡大

後半

(読み)

そへどもそ奈多ハ奈

そえどもそなたはな


うてのあふ連もの

うてのあふれもの


由へ奈か\/ち可らおよ

ゆへなかなかちからおよ


者゛春゛ざんねん奈可゛ら

ば ず ざんねんなが ら


おこま王多し多れども

おこまわたしたれども


むねん尓おもひ奈く\/

むねんにおもいなくなく


あとをし多ひ由く

あとをしたいゆく


(大意)

争ったのですが相手は

名うてのあぶれ者

なのでなかなか力及

ばす、残念ながら

おコマを渡してしまいました。

しかし無念でならず泣く泣く

別れがたくおもいあとを追いました。


(補足)

「阿らそへども」と「あふ連もの」の「も」の筆順が異なります。最初のは「し」のように書きはじめてそのまま左回りにもとに戻るようにしますが、もう一方は書きはじめは同様ですが下部までいったら小さく左上にのぼりそこから大きく右回りにかきます。このあと2ヶ所「も」がでてきますがそれらも同様です。「あ」が現在と同じような形になってます。

「むねん尓」、変体仮名「尓」は英小文字筆記体「y」の形。

 豆本は手のひらにのるくらいの大きさです。まさか後世に拡大して見られることを想像していたとは思えませんが、画面を拡大して隅々をみると、どこも丁寧に描きこんでいて手抜きなど微塵もありません。

 

2021年1月1日金曜日

豆本 禰この道行 その8

P6P7見開き

P.7拡大

前半

(読み)

■い連奈けれバ大 い尓

  いれなければおおいに


い可りとら蔵 を可ミ

いかりとらぞうをかみ


多本しておこ満尓さる

たおしておこまにさる


ぐつ王を者ませてこ

ぐつわをはませてこ


王き尓可ゝへて尓げさ

わきにかかえてにげさ


らんと春とらざう

らんとすとらぞう


そ連やつてハと阿ら

それやつてはとあら


(大意)

(聞き)いれることはなかったため、大いに

怒り、トラ蔵を咬(か)み

たおして、おコマにさる

ぐつわをはませて、

小脇に抱えて、逃げ去ろうと

しました。トラ蔵は

そうなってはと争う


(補足)

「そ連やつてハと」、こんなにはっきり硬筆で記されているのに「やつてハと」がわかりません。意味はもちろんおコマを連れ去るクマを阻止しようと争うということですけど、「やつ」の次は「て」「こ」「こと」何でしょうか。

 トラ蔵はなにおぉ〜と息巻くものの、クマは余裕の笑顔でおコマの裾を踏みつけて逃げられないようにしています。3人の衣裳は前頁とおなじものの、外の風景は大きく変わっています。縁側の柾目板の木目も細かい。