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(読み)
がんせ奈起十 一 二ともお本゛しき可゛
がんぜなきじゅういちにともおぼ しきが
さいせんあげてお可゛ミいし可゛
さいせんあげておが みいしが
ゑんま尓む可いあ奈多ハ
えんまにむかいあなたは
そん奈尓春ミ尓
そんなにすみに
奈つて王づ可
なってわずか
ねん尓尓どの
ねんににどの
おさいせん位 で
おさいせんぐらいで
可くけいを
か けいを
たてるのハ
たてるのは
おやめ尓して
おやめにして
開 化の国 で
かいかのくにで
商 法 を奈さい奈と
しょうほうをなさいなと
いへバゑんまハ
いへばえんまは
大 張 の
おおはりの
うちで
うちで
(大意)
まだ無邪気な十一二歳とも思われる子が
賽銭を上げて拝んでいましたが、
閻魔にむかって
「あなたはそんな片隅に居て
わずか年に二度のお賽銭くらいで家計をたてるのは
おやめになって
開化の国で商法をなさいな」
と言えば
閻魔は大張の内で
(補足)
普通なら恐ろしくて口もきけない閻魔大王に向かって、
頑是なき子どもが屈託なく話しかけます。子どもの立ち姿と大人のそれとは描き方が
違っているのがよくわかります。首の傾げ方も子どもっぽく描いているところがやはりプロ。
「がんぜ奈起」「たてるのハ」、平仮名「か」「た」。
「そん奈尓春ミ尓奈つて」、「春ミ」は「隅」としました。
「ねん尓尓どの」、変体仮名「尓」は「尓」のかたちと、英文筆記体の小文字「y」のようなかたちがあり、ここでは連続してその2つがでています。
「可くけいを」、「家計」としましたが、さて?
「大張」、辞書などで調べてもヒットしませんでしたが、閻魔大王は奥まったところに鎮座しているので、その場所のことでしょう。