2021年6月4日金曜日

豆本 昔噺し舌切春ゞめ その7

P7

(読み)

き多りし可バ

きたりしかば


春ゞめおふ

すずめおう


ぜいよつておくへと本し

ぜいよっておくへとほっし


いろ\/とちそうして

いろいろとちそうして


春ゝめおどりを春る

すずめおどりをする


やらお本さ王き

やらおおさわぎ


このよハと満り

このよはとまり


あくるひ尓奈りけれ

あくるひになりけれ


バぢゝいれいをのべ可いらん

ばじじいれいをのべかいらん


といへハおミやげ尓可るい●

といえばおみやげにかるい


●つゞら可゛

 つづらが


よい可お

よいかお


もひの可゛よい可と

もいのがよいかと


(大意)

着いたところ

雀が大勢出迎えて奥へと案内され

いろいろと馳走してくれました。

雀踊りをするやら大賑わいとなり

この夜は泊まりあくる日になって

爺は礼をのべ帰ろうと言うと

お土産に軽い葛籠がよいか

重いのがよいかと


(補足)

 赤や青の背景に文章が読みづらいところがあります。変体仮名「可」(か)がたくさんあります。形は「う」と同じ。ベンツのマークみたいな形は変体仮名「満」(ま)です。

「おもひの可゛」、ここの「も」の筆順は下部から左回りに上がって、ちょうど「S」を下から上へ書くような流れです。

 爺さんの表情がとても幸せそう。袴の四角い柄がいいですね。

P6P7見開き

 朝からお土産をもたせるのにも大騒ぎで「重いのがよいですか、軽いのがよいですか」とピーチクパーチク聞こえてきそうです。


 

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