2021年6月20日日曜日

豆本 新版猫の者那し その10

P10

(読み)

可つお

かつ


ぶし

ぶし


さへ多べ

さえたべ


られぬ由へい満さら

られぬゆえいまさら


こうく王い奈しゐると

こうかい なしいると


ころへ可しらのごん本゛多づ年

ころへかしらのごんぼ たずね


き多りもと可ひぬしこの

きたりもとかいぬしこの


ごろゐんき与のくらの

ごろいんきょのくらの


(大意)

鰹節さえ

食べられないため今さら

後悔しているところへ

頭のゴンボが訪ねてきました。

(頭が言うには)

もとの飼い主が

隠居している蔵にこの頃


(補足)

 絵はまったくの歌舞伎舞台の一場面。それも勇ましく大立ち回りの姿です。左手に白いネズミをつかんでいるのはゴンボかフクか。

「こうく王い」、こうかい。旧仮名遣い。

「ころへ可しらの」、最初「ころ」を(くう)と読んでしまい意味がおかしい。前行から続いて「ところへ可しらの」でしたら意味がつながるので、「くう」は「ころ」とわかった次第。まだまだ超初心者なんです。「多づ年」、変体仮名「年」(ね)はおかしな形をしていますが、古文書では「◯」に「ヽ」になります。この豆本の「ねずみ」では変体仮名「禰」(ね)です。

「ごろ」、これはすなおに(ごろ)と読めました。2行前の「ころ」と同じ文字とはおもえません。くどいですが、5行目「こう」、6行目「ころ」、8行目「ごろ」を比較してみてください。

「ゐんき与の」、ここの「与」は最初「ふ」に見えてしまいました。


 

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