2020年8月4日火曜日

的中地本問屋 その52




P.19



P.19 後半


(読み)
い多つてのこうぶつ
いたってのこうぶつ

いくらでもくひし多゛い
いくらでもくいしだ い

ことし可ら志ん多゛いも
ことしからしんだ いも

このそ者゛のとふり尓
このそば のとうりに

のびる春゛いそふ
のびるず いそう

まづハめで多く
まずはめでたく

いち可゛さ可へ多
いちが さかえた


者んもと
はんもと

もめで
もめで

多い
たい

おいらも
おいらも

めで多い
めでたい

めでたい


(大意)
大好物の蕎麦を
おおいに食っていると
今年から身代も
この蕎麦のようにのびてゆくのではないかという
瑞相(ずいそう)だ。
まずはめでたく
市が繁盛した。

版元もめでたいし
おいらもめでたい
めでたい


(補足)
やはり「う」や「ら」の区別がなやましいですが、前後からの意味でなんとかなります。

「い多つてのこうぶつ」、今ではこういった言い回しはしませんけど、ちょっと使ってみたい。

「春゛いそふ」、瑞相。吉兆、めでたいことの起こるきざし。辞書であぁそうだったと思い出した。


左の箱は最初、本を入れる箱とおもったのですが、蕎麦のそばにあるので出前箱でしょう。
調べてみるとありました。
文化六年刊 「江戸職人歌合」に天秤棒の出前姿の絵です。



箱がにてますよね。

さらにしつこく検索すると、錦絵がありました。



「そば屋のかつぎ市村羽左衛門」文久二年(1862) 歌川国貞。


 蕎麦はどうやら皿に盛ったぶっかけのようです。
一九さん、目尻を下げてうまそうに食ってます。


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