2020年8月6日木曜日

豆本 兎のかがみ山 その1




表紙

(読み)
兔  の可ゞミ山
うさぎのかがみやま

(大意)


(補足)
 歌舞伎の加賀見山の名場面を選りすぐった絵本。
もとの加賀見山の話は簡単にはまとめられないので、御存知のない方は調べてください。
当時の子どもが絵本として読んでも、いきなりは理解が難しかったはずです。
年長の兄さん姉さんやおじさんおばさん父親母親などに聞きながら頁をめくったことでしょう。

 明治13年3月22日出版。價1銭。ほんとにこんなに安かったのでしょうか。

 「兔」は「兎」の異体字。「兎」の漢字は読めても書けるかどうかは不安な漢字のひとつです。
「ミ」、平仮名「み」はほとんどつかわれることはありません。
「山」の書き順が、左の小さな「L」のあと、「ろ」のように書いています。

 表紙絵は御殿での「草履打ち(ぞうりうち)」の場面。
草履を振り上げてうちすえているのは、姫お付きの筆頭お女中岩藤。
いたぶられているのは歌舞伎ならお女中尾上(おのえ)ですが、この豆本では「さらさ」です。

 岩藤、左手の拳を強く握り、分厚い草履を力いっぱい、表情も恐ろしげ。
さらさ、ひたすら忍従の様、いまに見てろとクソババアと青い目がこれまた怖い。

 絵の輪郭線が水色でなぞってあるところが何箇所かあって、赤緑のメガネで立体に見えそう。


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