2020年8月1日土曜日

的中地本問屋 その49




P.18



P.18 上段

(読み)
く多゛されと
くだ されと

もつて行 バ
もってゆけば

これこちらへハ
これこちらへは

どふして
どうして

く多゛さるイヤ
くだ さるいや

今 春つておりま春と
いますっておりますと

いふ尓いヤゝ 春らずと
いうにいやいやすらずと

よふござるそのまゝで
ようござるそのままで

く多゛セへと
くだ せえと


大 き尓
おおきに

もふ可り
もうかり

个るぞ
けるぞ

いさ起゛
いさぎ

よし
よし


(大意)
くだされと
持ってゆけば
これ、こちらへはどうしてくださる
いや、今摺っておりますと言うと
いやいや摺らずともようござる
そのままでくだせえ

大いに儲かってるぞ、
気持ちが良い。


(補足)
 大意は必要なく、原文のままで意味がすべて通じます。
「行バ」、「行」のくずし字を知らないと読めません。

6,7行目に変体仮名「春」(す)が3箇所ありますが、4つ目は「ず」と平仮名に「゛」。

「いさ起゛よし」、大いに売れまくって気分がよいことをいっているのでしょうけど、現代ではピンときません。

 摺らないでいいから、そのままくれとはただの紙をくれといっているわけで、バカバカしいほど売れているということなのでしょう。

 左の丁稚はうれてうれて嬉しくてにこやかですが、その隣のあにさんは顔つきがどこか殺気立って怖い。

 正月店頭販売はほんとにこんな感じだったのかも・・・


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