P25 国文学研究資料館蔵
(読み)
真鞴 大 工所 作
まぶき多゛いく
まぶきだ いくしょさ
満ぶ起といふハ銅 より白 め殻 実をぬきとりて正 味者゛
しろ 可らミ
まぶきというはどうよりしろめからみをぬきとりてしょうみば
可り尓仕あげてう春銅 尓遍ぐ也 ふいごハ二挺 ふいごなり哥 ニ
かりにしあげてうすどうにへぐなりふいごはにちょうふいごなりうたに
満可゛ねふくとよめるハまぶきのことなりべし
まが ねふくとよめるはまぶきのことなりべし
古今 集 大 哥 所 の御 哥
こきんしゅうおおうたどころのおんうた
ま可ねふく吉備の中 山 帯 尓せる細 谷 川 乃音 のさやけき
まがねふくきびのなかやまおびにせるほそたにかわのおとのさやけき
吉備の中 山 ハ備 中 也 今 も備 中 より多 く鉄 を出せり
きびのなかやまはびっちゅうなりいまもびっちゅうよりおおくてつをだせり
たゝら可遍 ふいごハ壁 のうらに有
たたらかべ ふいごはかべのうらにあり
(大意)
歌「ま可ねふく吉備の中山帯尓せる細谷川乃音のさやけき」。
『鉄(くろがね)を精錬する煙が漂う吉備の中山、その山を帯のようにぐるりと巡って流れる細谷川の、水の音がなんと澄み切って清らかなことよ』。
吉備の中山の麓をとりまくような煙のながれは、まるで川のよう。その下には細谷川がまるで煙をなぞるように静かに流ています。細谷川の静かな水の音の中にかすかにふいごの音がきこえます。
(補足)
表題「真ぶき」の漢字を鞴(ふいご)で代用。
「所作」、「作」のくずし字は特徴的で忘れません。
「白め」、『しろめ【白鑞・白目】
スズに鉛を少し混ぜた合金。スズの細工物の接合剤,銅容器のさび止めなどに用いた。しろみ。しろなまり。はくろう』。ここでは銅精製途中の不純物である錫や鉛のこと。
「殻実」、『スラグslag金属製錬の際,溶融した金属から分離して浮かび上がるかす。非鉄金属の場合は鍰(からみ)という。道路の路盤材,セメントの原料などにする。溶滓(ようし)(ようさい)。鉱滓(こうし)(こうさい)。のろ』
「まぶき」、『まぶき【真吹き】
中世後期に行われた製銅法。木炭粉末を粘土でこねて作った容器に銅の鈹(かわ)を入れ,羽口(はぐち)から風を吹き込み,溶融して不純物を酸化させ粗銅を得る』
「大歌所(おおうたどころ)の御歌(おんうた)」、『おおうたどころおんうた おほ― 【大歌所御歌】大歌所が収集・管理し,教習した歌。古今和歌集巻二〇に部立ての名の一つとして立てられ,その一部が収められている。宮中儀式で用いられた伝統的な歌謡(神楽歌、風俗歌、東歌など)』
「吉備の中山帯尓せる」、山と帯がくっついていて峯に見えてしまいます。
「音」のくずし字は難しい。
「たゝら可遍 ふいごハ壁のうらに有」、これらの様子は前頁「鉛」、前々頁「銅山床屋」にもありました。
水銀、鉛、銅など諸金属精錬での人体への影響被害に対処するのは、つい最近である昭和の時代になってからでした。

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