表紙 国立国会図書館蔵
(読み)
花 咲 ぢゞい
者奈さ可
(大意)
はなさかじじい
(補足)
隙間も余白も許すまじという硬い決心で描かれた感じの表紙です。
空に向かってまき散らした灰は二人の淑女の着物に桜のとなって咲いたようであります。女ふたりの目もとはかすかに薄紅があるようなないような、きれいな桜色。
生え際の髪の毛の繊細さ、彫師の腕でしょうけどお見事です。しかしこの前回からつづくシリーズは木版ではなく銅版なので鉄筆のようなもので削ったり刻んだりの工程です。よい表紙であります。
表紙 国立国会図書館蔵
(読み)
花 咲 ぢゞい
者奈さ可
(大意)
はなさかじじい
(補足)
隙間も余白も許すまじという硬い決心で描かれた感じの表紙です。
空に向かってまき散らした灰は二人の淑女の着物に桜のとなって咲いたようであります。女ふたりの目もとはかすかに薄紅があるようなないような、きれいな桜色。
生え際の髪の毛の繊細さ、彫師の腕でしょうけどお見事です。しかしこの前回からつづくシリーズは木版ではなく銅版なので鉄筆のようなもので削ったり刻んだりの工程です。よい表紙であります。
裏表紙 国立国会図書館蔵
(読み)
なし
(大意)
なし
(補足)
今回のこの豆本、いままでの豆本とはまったくことなるものでした。顔の描き方が今までのものとはあまりにもかけはなれているので驚くとともに現代につながるものを感じました。
裏表紙の意匠は線香花火にも雪の結晶にもなでしこにもみえますけど、やはり朝顔を図案化したものでしょうか。P8の宮城阿曽二郎の袴の柄と同じです。
とても印象に残る豆本でありました。
奥付 国立国会図書館蔵
(読み)
明治十五年七月十一日御届
東京日本橋区馬喰町二丁目一番地 定價三銭
編輯兼出版人 木村文三郎
(大意)
略
(補足)
鼇頭 明治文証大全 改正
「ごうとう」と読みます。意味は「書物の上欄。また,そこに書き入れた注。「―に記す」」とありました。字がつぶれてよくわかりませんので、上の部品は「土」+「方」+「攵」で、下は「黽」。
もちろん、わたしは読めませんでした。
ネットで調べると、「メイジ ブンショウ タイゼン : ベットウ カイセイ」ともあります。「文証」は「ブンショウ」「モンショウ」どちらでもよさそうです。というかわかりません。辞書で調べてものっていません。
内容は宣伝文にあるように(6割くらいしか読めません)著名人などの記したものを集めた本のようです。デジタルアーカイブで実物をみると紋章やら色紙に揮毫したものやらが羅列されています。
こういった本の要望があったから出版したのか、それとも出版して啓発したのか、なんかよくわからない書籍であります。
P12 国立国会図書館蔵
P12拡大
(読み)
□可けあひ
かけあい
あら多めて
あらためて
あそ二郎
あそじろう
ミ由起と
みゆきと
ふうふ尓
ふうふに
奈り
なり
个り
けり
めで
めで
多し
たし
\/ \/
めでたしめでたし
\/
めでたし
(大意)
話し合って
あらためて
阿曽二郎は
深雪と
夫婦に
なりました。
めでたし
めでたしめでたし
めでたし
(補足)
深雪のやや切れ上がった細い目のやさいいこと、鼻梁はまっすぐで小さめの口、きれいだなぁ。
深雪は阿曽二郎をみつめますが、阿曽二郎はそれをはすにうけます。体全体からでる幸せ感を扇であおいぎこちらに吹いてきそう。
床の間の掛け軸が読めません。
P10 国立国会図書館蔵
P11後半
P11拡大
(読み)
二郎 もミ由起可゛ていせつをふびん尓おもひ
じろうもみゆきが ていせつをふびんにおもい
や可゛て志由うよう者てしのちミ由起
やが てしゅうようはてしのちみゆき
のあり可を多づ年あて王可゛本んごくへ
のありかをたずねあてわが ほんごくへ
つ連可へりあ起づきのおやもとへ□
つれかえりおきずきのおやもとへ
(大意)
(阿曽)二郎も深雪の貞節を不憫におもい
無事仕事をおえたのち深雪
の居所をさがして見つけることができ国元へ
連れ帰り秋月の親元へ
(補足)
「や可゛て」「おやもとへ」、「や」を比較すると、後者は現在と同じ筆順で同じかたち。前者は現在の「ゆ」のような筆順でかたちは「ゆ」にちかい。
「志由うよう」、「修養」だとおもうのですが。阿曽二郎は伯父駒沢了庵の命により大磯で郭遊びにふける主君を諌めるのが任務でしたから、それを果たしてから研鑽を積んだということで「修養」と理解したのですけど、ぜんぜん違うかもしれません。
大井川へ飛び込まんとする深雪の表情が怖い。嵐に吹き流される髪の毛の端々の細かさが不気味。着物柄のブチブチの鮫肌のような細かな柄に鳥肌がたちます。
P10 国立国会図書館蔵
P11前半
P11拡大
(読み)
X可奈しミ奈げ起春で尓大 ゐ川 へミを
かなしみなげきすでにおおいがわへみを
奈げんとせしところへとく右衛門者せつけ
なげんとせしところへとくえもんはせつけ
やう\/しをとゞめあそ二郎 可゛をしへのごと
ようようしをとどめあそじろうが おしえのごと
く王可゛ちし本をもつてめぐ春りをの満春
くわが ちしおをもってめぐすりをのませ
連バ多ちまちぜんく王い奈し多り个るあそ
ればたちまちぜんか いなしたりけるあそ
(大意)
悲しみ嘆き、まさしく大井川へ身を
投げようとしているところへ徳右衛門がかけつけ
やっとのことで死をとどめることができました。阿曽二郎が教えてくれたとおり
わが血潮と一緒に目薬をのませた
ところたちまち全快したのでした。阿曽(二郎)
(補足)
「をしへのごとく」、「ごと」は合字。
「の満春連バ」、ここの変体仮名「満」(ま)と「多ちまち」の変体仮名「多」(た)をくらべるとほとんど同じかたちです。変体仮名「多」のかたちはたいてい「さ」の横棒をなくしたものですがここのかたちのような変体仮名「多」(た)もあります。
「王可゛ちし本をもつて」、あらすじを調べていなければよくわからないところです。徳右衛門は深雪の身投げを止めたあと川岸でぶすりと小刀で自分の腹を刺し、その血潮というわけです。
徳右衛門さんなんだか任侠の仁義を切っているみたいにみえます。小刀をさしています。
P8 国立国会図書館蔵
P9後半
P9拡大
(読み)
ときん春あふいぎを多のミ
ときんすおうぎをたのみ
おき志由つ多つせりあと
おきしゅったつせりあと
尓てミ由起ハあふぎのう多
にてみゆきはおうぎのうた
をよんでもらひまさしく
をよんでもらいまさしく
をつと奈りとあとを志多
おっとなりとあとをした
ふて者しり由く大 あメ尓
うてはしりゆきああおめに
可ハどめ奈りときいてX
かわどめなりときいて
(大意)
とお金と(歌を記した扇は嵐で舟が離れ離れになる直前深雪より投げ渡された)扇を頼ん
で、出発しました。その後深雪は扇の歌
を読んでもらい、まさしく
夫であるとわかり、離れがたくあとを
走り追いました。大雨で川止めときいて
(補足)
読みにくいところはなさそうです。
前回のブログで「朝顔物語」をネットで改めて調べたことを記しました。「物語」ではなく「日記」としたらたくさんヒットしました。
明治10年前後から22年頃までに「朝顔日記」がいくつかの版元から売りに出されていて、なにか流行りがあったのでしょうか。英訳版も出版されているのです。6冊分をダウンロードしました。
本のできにずいぶんと差があって、よくもまぁこんな本(絵が稚拙だったり子どもの落書きか)とおもうようなものまであります。朝顔物語や朝顔日記といえばあぁあの阿曽二郎と深雪のはなしかと当時は誰でも知っていた有名な物語だったようです。
徳右衛門の表情が生き生きとした渋さというか、たしかにあずかりました、おまかせくださいという自身がにじみ出ています。うしろの板戸が存在感があります。