2026年10月15日木曜日

大日本物産圖會その116

P116 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P116_1

(読み)

肥前 伊万里陶 器造  図一

ひぜんいまりとうきづくりずいち


肥前  國 伊万里焼 ハ本 朝  ニ尤   上

ひぜんのくにいまりやきはほんちょうにもっともじょう


品 と須就中   大河内  三河内 より

ひんとすなかんずくおおかわちみかわちより


出る物 上  等 也 此 焼 物 尓用  る土 を

でるものじょうとうなりこのやきものにもちいるつちを


志ら土 と云 て泉  山 より出て其 性 甚  多゛

しらつちといいていずみやまよりでてそのせいはなはだ


堅し擧(ゲン)のふを以 て打 可き金 杵

かたし げん のうをもってうちかきかねきね


尓て是 をつ起末 粉 と奈して他 の土

にてこれをつきすえこなとなしてほかのつち


二三 種 合 せて溜 池 尓漂(ヒタ)しよく

にさんしゅあわせてためいけに  ひた しよく


和し多るを飯籬(イガキ)尓てこし外 の溜

わしたるを   いがき にてこしそとのため


池 尓うつしよく澄(スミ)て浮(ウキ)多るものを

いけにうつしよく  すみ て  うき たるものを


揚(アゲ)て素(ス)やきの釜 尓ぬりて乾(カハカ)し

  あげ て  す やきのかまにぬりて  かわか し


再  び清 水 尓調和(テウクワ)し粘和(コネ)て工 人

ふたたびせいすいに   ちょうわ し   こね てこうじん


尓与(アタ)ふ是 まで婦人 の所為(シワサ)也

に  あた うこれまでふじんの   しわざ なり

(大意)

略

(補足)

「肥前」、『佐賀県と壱岐(いき)・対馬を除く長崎県に当たる』。

付箋が3枚、右から「シラ土ヲ溜池ニ入ル」、「澄シタル土ヲ揚る図」、「土ヲコネル図」、「?噐ヲ拵ル図」。

「飯籬」は辞書にありませんでしたが「籬」はあって『まがき【籬】① 竹・柴などを粗く編んで作った垣。ませ。ませがき。② 遊郭で,見世(みせ)と入り口の落ち間とのあいだにある格子戸』。

 左端の轆轤(ろくろ)を使っている職人さん、ボタン付きのYシャツ姿、明治です。

奥の部屋では商談がすすんでいるよう。

 働く御婦人たち、鉢巻あり、泥棒かぶりあり、頬かむりありといろいろでおもしろい。

 

2026年10月14日水曜日

大日本物産圖會その115

P115 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P115_1

(読み)

筑 前  國 鮪  漁  之圖

ちくぜんのくにまぐろりょうのず


鮪(シビ)ハ當 國 宗像(ムナカタ)にて多 く

  しび はとうごく   むなかた にておおく


漁  す王鮪(ワウシビ)叔鮪(メクロ)鮥子(メンロ)等 の

りょうす   おうしび    めくろ    めんろ とうの


名あり秋 の彼岸(ヒガン)与り取

なありあきの   ひがん よりとり


始 め網 の目八 寸 計 里尓して

はじめあみのめはっすんばかりにして


二十 丁  余  なり底(ソコ)ありて形

にじっちょうあまりなり  そこ ありてかたち


箕(ミ)の如 し常 尓海底(カイテイ)尓沈(シツ)め置

  み のごとしつねに   かいてい に  しづ めおき


て䋄 の両  端(ハシ)を二艘(ソウ)の舩 尓結(ムス)ぶ

てあみのりょう  はし をに  そう のふねに  むす ぶ


また山頂(サンテ ウ)尓櫓(ヤクラ)を可満へて魚 の集  る

また   さんちょう に  やぐら をかまえてうおのあつまる


を伺  ひ麾(ザイ)をふりて指令(サシツ)を奈せ

をうかがい  さい をふりて   さしず をなせ


バ数艘(スソウ)の小船 飛 可゛如 く尓出て

ば   すそう のこぶねとぶが ごとくにでて


網 を曳 打 可ぎ尓て採(トリ)入る奈り

あみをひきうちかぎにて  とり いるなり

(大意)

略

(補足)

「米」+「又」の漢字はないので「叔」で代用。

「丁」、『ちょう ちやう【町】一町は約109.09メートル』。

 山なりの波の様子とその色合いの濃淡の変化が力強くきれい。紫と青緑の漁師の配置、全員腰蓑は同色の黄土色、考えてますね。中央に飛び上がった鮪一疋が主役です。

 山頂の櫓で采を振るところ、拡大してみると人の形をしていて彫師泣かでしょうか。沖には白い帆をいっぱいに張っている帆掛舟が二艘みえます。

 大漁❗️大漁‼️大漁❗️❗️❗️

 

2026年10月13日火曜日

大日本物産圖會その114

P114 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P114_1

(読み)

筑 前  國 博 多織 之圖

ちくぜんのくにはかたおりのず


博多織(ハカタオリ)ハ當 國 博 多尓て

    はかたおり はとうごくはかたにて


産 春故 尓此 名あり有名(イウメイ)の織

さんすゆえにこのなあり   ゆうめい のおり


物 尓して其 精良(ヨキ)奈ること海 内

ものにしてその   よき なることかいない


無双(ブソウ)奈り五色 及 ひ茶 鼠

   むそう なりごしきおよびちゃねずみ


替 り縞 独古(シマトツコ)等(トウ)種 々 織

かわりじま   しまどっこ   とい しゅしゅおり


出す堅(ダイ)剛久尓耐(ナガクモツ)一艶色(ツヤ)最(モツトモ)

だす  


美麗(ビレイ)なるを以 て多 く男

   びれい なるをもっておおくだん


女 の帯 尓縫(ヌヒ)製 し衆

じょのおびに  ぬい せいししゅう


人 こぞつて賞用(シヤウヨウ)す

じんこぞって   しょうよう す

(大意)

略

(補足)

「堅(ダイ)剛久尓耐(ナガクモツ)一いちに艶色(ツヤ)最(モツトモ)美麗(ビレイ)なる」が振り仮名も不明確で、意味は理解できますが、読みをなんとかしたいとおもい、AIに頼りました。「(漢文の訓読スタイルでは、「堅剛(けんごう)久(ひさ)しきに耐(た)え、一艶色(いちえんしょく)最(もっとも)も美麗(びれい)なり」となります)」との回答がなかなかの読みです。なんかスッキリです。振り仮名「ナガク」の上に「フ」or「ツ」とありますが、読みがつながりません。

 ガラス窓をとおして庭木がみえる板壁に囲まれた庭は桜も咲き出して早春のよう。囲いの上にはどろぼうよけの返しがついてます。縁側では子どもが大きな猫をじゃらして部屋のにぎやかさとはことなる世界。ふすまの引手はひょうたんでおしゃれ。豊かな商家の一室での楽しい博多織の帯えらびはいつまで続くことやら・・・帯の入れ物籠には「博多」「本場」とありまして、なんとか買ってもらおうと勧める商人の表情が切羽詰まった渋い顔です。

 

2026年10月12日月曜日

大日本物産圖會その113

P113 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P113_1

(読み)

鶴 鷹 之圖二

かくようのずに


鷹 ハ甲斐日  向丹 後伊豫

たかはかいひゅうがたんごいよ


等 尓て捕るものハ皆 小鷹

とうにてとるものはみなこたか


尓して奥 州  尓て捕るものハ

にしておうしゅうにてとるものは


大 た可奈り白 鷹 ハ朝  鮮 よ

おおたかなりしろたかはちょうせんよ


里來 りて鶴 厂 をうつもの

りきたりてつるがんをうつもの


なり鷹 を養  ふことハ朝  鮮

なりたかをやしなうことはちょうせん


をもととし本 朝  尓てハ十

をもととしほんちょうにてはじゅう


七 代 仁 徳 天 皇 の御 宇阿(アニ)

ななだいにんとくてんのうのぎょう  あに


弭(ネ)古といふ人 初  て鷹 を献

  ね こというひとはじめてたかをけん


せし時 尓百済 の皇子酒  君

せしときにくだらのみこさけのきみ


をして是 を馴(ナラ)さしめ遊

をしてこれを  なら さしめゆう


猟  尓諸 鳥  をとらしむ是 則  ち

りょうにしょちょうをとらしむこれすなわち


我 朝  ニて鷹 を養  ふの始  也

わがちょうにてたかをやしなうのはじめなり

(大意)

略

(補足)

 「大日本物産圖會その59」が「伊予国鷹捕之圖一」でした。伊予国は愛媛県。

「厂」、『がん【雁・鴈】カモ目カモ科の水鳥のうち,ハクチョウ類に次いで体の大きい一群の総称』。

 鷹匠の足元の札書きに「鷹ヲ馴ス図」、左手には鷹。右手は籠の中でご褒美。

 紐付きで放たれたのは、鷹に襲わせる練習のための鳩でしょうか。紐をくるりと輪にして描いているところがにくい演出です。山々の風景は遠近があって稜線をみせる山に不思議と立体感があります。山の画には必ず川があるのがお約束で、右隅にチラッと忍ばせています。

 

2026年10月11日日曜日

大日本物産圖會その112

P112 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P112_1

(読み)

同 國 野蠶 養   之圖

どうこくやさんやしなうのず


野蠶 ハ春蚕(カイコ)と異(コト)奈り其 養 法

やさんは   かいこ と  こと なりそのようほう  


甚  多゛易 し是 を養   尓山 飼(カヒ)桶(ヲケ)飼

はなはだ やさしこれをやしなうにやま  がい   おけ がい


の二法 あり山 飼 ハ雑 木を悉   く伐(キリ)

のにほうありやまがいはぞうきをことごとく  きり


とり櫧(カシ)櫟(クスキ)等 の樹 上  尓虫 を養

とり  かし   くすき とうのじゅじょうにむしをやしな


ふ也 桶 飼 ハ四 斗樽 尓水 を張

うなりおけがいはよんとだるにみずをはり


蓋(フタ)をして中  央 尓穴 を穿け

  ふた をしてちゅうおうにあなをあけ


櫧(カシ)橡(ナラ)ホ の小枝 をさし此 内 に

  かし   なら などのこえだをさしこのうちに


飼ふ也 小枝 水 共 尓時 々 取 可へ凡

かうなりこえだみずともにときどきとりかえおよそ


六 十  日 目尓て繭(マユ)を作 る后(ノチ)廿   五六

ろくじゅうにちめにて  まゆ をつくる  のち にじゅうごろく


日 尓て蛾(テ フ)出る也 則   卵(タマコ)を産(サン)す

にちにて  ちょう でるなりすなわち  たまご を  さん す

(大意)

略

(補足)

「同國」、但馬国。

「野蚕」、『やさん【野蚕】野生の蚕の総称。柞蚕(さくさん)・山繭・樟蚕(くすさん)など。 →家蚕『かさん【家蚕】カイコの別名。野蚕(やさん)と区別していう語』

 左に手桶で水やりしているところ、台の下に線画だけの樽が描かれています。この物産図会でこのような描きかけはありませんでした。絵師が彫師にわたした下絵に描かれていたから彫師は彫ったのでしょうけど、めずらしい。

 この藁囲いの小枝の先の白いものが繭で桶飼。その右の大きな桑の木で行っているのが山飼。

 なんとものどかな風景です。

 

2026年10月10日土曜日

大日本物産圖會その111

P111 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P111_1

(読み)

但 馬 國 柳⺮考䇭(ヤナギコヲリ)製 圖

たじまのくに     やなぎごおり せいず


柳⺮考䇭(ヤナギコヲリ)ハ城ノ嵜 郡 豊

     やなぎこおり はきのさきぐんとよ


岡 より多 く出須柳  乃

おかよりおおくだすやなぎの


枝 を細割(コマカク)し晒(サラ)して行 李

えだを   こまかく し  さら してこうり


を編(ア)ミ或  ハ葛篭(ツゝラ)弁 当

を  あ みあるいは   つづら べんとう


い連畄を作 るそ能精

いれるをつくるそのせい


強(ツヨク)して遠地(トヲク)啓行(モチハコビ)の用

  つよく して   とおく    もちはこび のよう


に供(くう)す至(い多つ)て便(ベン)用 を奈

に  ぐう す  いたっ て  べん ようをな


すものなり

すものなり

(大意)

略

(補足)

「但馬國」、『兵庫県北部に相当。但州(たんしゆう)』。

「行李(こうり)」ではなく「⺮考䇭(コヲリ)」となっていて、フォントがありません。「栲䇭」(こうろう)、竹や柳の枝を編んで作った入れ物(かご)を意味する言葉はありました。

「柳行李」、『こうり かう―【行李・梱】〔「行李」は使者の意〕① 竹または柳などで編み,衣類や旅行用の荷物などを入れるのに用いるかぶせ蓋(ぶた)つきの入れもの。こり』。店の看板にも同じ漢字が記されています。

 この画をひとめみて最初に目がいくのが、右の通行人の洋傘です。なので当時もきっと目をひいたはず。二番目は中央店内のガラス戸、かなり珍しかったはず。ガラスをとおして見えている部分は色調を変えています。

 のれんにあるひし形の意匠は「広重」の「ヒロ」。どうなっているかわかりますか?

 行李はわたしが子どもの頃はごく普通に使われていました。使い込めば使い込むほどツヤツヤしてきて大切にしたものです。もうほとんど目にしません。

 

2026年10月9日金曜日

大日本物産圖會その110

P110 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P110_1

(読み)

丹 後 國 鰤(ブリ)追 網 之圖

たんごのくに  ぶり おいあみのず


鰤(ブリ)ハ丹 後 国 与謝(ヨサ)の入 海 に

  ぶり はたんごのくに   よさ のいりうみに


とるものを上  品(ヒン)と須魚 つ年

とるものをじょう  ひん とすうおつね


尓此(コゝ)尓あそび長  ずるに及(オヨン)で

に  ここ にあそびちょうずるに  およん で


出んとする時 をう可ゞひ追(オヒ)

でんとするときをうかがい  おい


網(アミ)を以 て捕(ト)る網 ハうミの

  あみ をもって  と るあみはうみの


入 口 尓者り数 十 艘 ふ年を

いりぐちにはりすうじっそうふねを


奈らべ舷(フナバタ)をたゝき魚 をおひ

ならべ  ふなばた をたたきうおをおい


いれ尚 魚 のもれざる多め三

いれなおうおのもれざるためみ


重尓あミを可け轆轤(ロクロ)にて

えにあみをかけ   ろくろ にて


ひ起阿けるなり

ひきあげるなり

(大意)

略

(補足)

「網」の異体字で検索したら「䋄」がありました。口の下が閉じてませんけんど。

「フナバタ」、原文は「舟」+「世」。

 ここまで記してきて、どうもこの画はとりあげたことがあるなと、調べたら「その70」で同じものをアップしていました。他の画でもダブっているのが数枚あるようです。

 「その70」の画のほうが色が鮮やかです。