2023年8月7日月曜日

MOMOTARO その5

P2P3個人蔵

P3 個人蔵

(読み)

she was very glad, and pulled

it to her with a piece of bam-

boo that lay near by. When

she took it up

and looked at it

(大意)

大変に喜び、そばにあった竹竿で手元に

引きよせました。それを取り上げて、

見てみると

(補足)

 流れてきたものがひと目見て桃とわかってはいけないし、しかしそれらしく描かなければいけないし、難しいところ。

 おばあさんの、右足を引いて左膝で体を支えるこの姿勢、これも描くのが難しそうです。

 

2023年8月6日日曜日

MOMOTARO その4

P2P3個人蔵

P2 個人蔵

(読み)

went to the river to wash clothes.

While she was washing a great

big thing came tumbling and

splashing down the stream.

When the old woman saw it

(大意)

川へ洗濯をしに行きました。

婆さんが洗濯をしていると、大きなものが

川をどんぶらこっこ、すっこっこ、と流れてきました。

婆さんはそれをみて、

(補足)

 山間を流れる小川とすぐそばの山道をつないで一つの風景で爺さん婆さんの仕事を描いています。

遠くの爺さんを拡大してみると、小さくなったからといってまったく手を抜いてないことがわかります。右手に持つ鎌は鋭く切れ味がよさそうです。

 

2023年8月5日土曜日

MOMOTARO その3

P1 個人蔵

(読み)

MOMOTARO

or

Little Peachling.

A long long time ago there

lived an old man and an

old woman. One day the old

man went to the mountains to

cut grass; and the old woman

(大意)

桃太郎 または桃王子

むかしむかし、爺さんと婆さんがおりました。

ある日、爺さんは山へ芝刈りにゆき、婆さんは

(補足)

 桃は英語でpeachですが、peachには素晴らしい人、すてきな人、魅了的な人などの意味があるようで、訳者のダビッド・トムソンは桃太郎の話を初めて読んだとき、Little Peachlingという訳がひらめいて、どうしてもこれに引っ掛けたかったのでしょう。

また、-lingは『1 子…, 小… (!〖名詞〗に付く)▸ duckling子ガモ. 2 …に属する[関係のある]人[物] (!〖名詞〗〖形容詞〗〖副詞〗に付く)▸ earthling地球人.』とあります。

 両方をまとめると、訳者の頭の中には、部下3名を従えた桃部隊のすてきな小隊長みたいなものがあったような気がします。

 桃の写生は難しいとおもいます。産毛につつまれたような感じが手強そう。しかしちりめん本なのでその感じが平紙よりでていそうです。右上に伸びている桃の葉、裏をちらりと見せているところがひかれます。

 

2023年8月4日金曜日

MOMOTARO その2

見返し 個人蔵

(読み)

版權所有

Japanese Fairy Tale Series,No.1.

MOMOTARO,

PUBLISHED BY

T.HASEGAWA,

10,Hiyoshicho.

TOKYO

日本昔噺第一號

米國 ダビッド タムソン 譯述

再販 桃太郎

鮮齋永濯畫

明治十八年八月十七日版權

免許同年九月出版同十九年

八月廿六日再販幷添題御届

東京市京橋區日吉町十番地

發行者

長谷川武次郎

(大意)

略

(補足)

 目のさめるような桜色の背景に、毛むくじゃらの猿と犬、まだ子猿子犬のようです。かわいらしい。

 英文字部分は、いまではあふれるほどのフォントがありますが、この時代どのようにしてこれだけの活字をあつめたのでしょう。というかすでにたくさんの中から選択するぐらいにはあったのかもしれません。

 この桃太郎はスウェーデン語・スペイン語・ポルトガル語・ドイツ語・フランス語・英語とたくさんの言語で出版再版されています。しかし猿と犬がこの位置のものはこの版だけで、他のものは猿と犬の位置が入れ替わっていたり、ことなった絵柄だったり、または猿も犬もいないものとなっています。

 画工は鮮齋永濯(せんさいえいたく)(小林永濯)。ネットでその生涯と業績を読むことができます。

 

2023年8月3日木曜日

MOMOTARO その1

表紙 個人蔵

(読み)

JAPANESE FAIRY TALE SERIES No.1

MOMOTARO.

(大意)

日本昔噺第一號

桃太郎

(補足)

 ちりめん本です。すでにこのブログでこのシリーズの「KACHI-KACHI MOUNTAIN No5」「OURASIMA LE PETIT PÊCHEUR No8」「THE OLD MAN & THE DEVILS No7」

「The Wonderful Tea-Kettle No10」をアップしています。

 今回はこのシリーズの第一号桃太郎です。つい先日手に入れたものです。状態は中程度と記されていましたが、手にして何度も確かめましたが、それ以上の保存のよいちりめん本でした。本の周辺は擦れていますが、大和綴じの綴じ糸はしっかりとしています。

 虫眼鏡で表紙をくまなく見ました。すばらしいとしかいえません。デジタル写真にしてPCで拡大してみても、これまたすばらしい。

 豆本などでは廉価でなるべく目立つようにして手にしてもらうようにするため、明治赤といわれる派手な色合いでした。外国からこの安い赤色塗料が輸入されるまでは、赤(紅)の塗料はとても高価でそう簡単には使用することができませんでした。明治赤の使用はその反動もあってのことだったのでしょう。

 しかしこのシリーズのちりめん本では、従来の日本の色調を基本として、赤の使用はそれほどでもありません。全体としては地味というのとはことなり、とても落ち着いて上品な仕上がりになっています。この表紙で赤があるのは桃太郎の右手の袖口にのぞく裏生地と右腰の手ぬぐい、うしろにひかえるキジの鎧と顔の部分だけです。

 表紙は絵師・彫師・摺師が一番に気合を込めて描き、彫り、摺るところです。青空や山肌の濃淡、松の針葉一本一本、その枝の折り曲がり、そして幹と根方に腰掛ける桃太郎と目をはこばせます。

 網目の袋にたくさん入っているきびだんご、きびだんごの重みを感じるかのように精緻です。すぐその下の藁で作った脚絆もこれまた見事です。他にもあげればきりがありませんが、犬がさしている太刀も拡大しなければわからないくらいなのですが、柄も鞘も丁寧に描かれています。

 桃太郎と犬の視線と、猿と桃太郎の右足を結ぶ線の交点に桃太郎が差し出すきびだんごが位置するような構図は絵全体に安定感を与えています。そして桃太郎のやさしい表情と犬のひたすら一心に忠義を体全体からにじませる物腰が読者の胸にあたたかいものを感じさせます。

 

2023年8月2日水曜日

箱入娘面屋人魚 その60

P32 国立国会図書館蔵

(読み)

ちうきよ 仕   り候   このうへいくらいきやうやら

じゅうきょつかまつりそうろうこのうえいくらいきようやら


その本どハ志れ申 さ須゛

そのほどはしれもうさず


とう本゛うさく尓多川多

とうぼ うさくにたった


百  年 ち可゛川てやく者らひの

ひゃくねんちが ってやくばらいの


もんく尓ハもれ多れども

もんくにはもれたれども


金 もまんと今 尓

かねもまんといまに


あ連ハまこと尓

あればまことに


外 ゝ のくさそうし

ほかほかのくさぞうし


の志まひでき合 の

のしまいできあいの


めて多可り个るとち可゛ひ

めでたかりけるとちが い


これハ可くべ川尓御あつらへ

これはかくべつにおあつらえ


とびきりのめで多

とびきりのめでた


可りける志多゛い奈り

かりけるしだ いなり


京  傳 作 ㊞

きょうでんさく


(大意)

今はわたくしの隣に住んでいる。この上、どれくらい生きるものなのであるかは、

まったくわからない。「東方朔が九千歳」と歌われるものにたった百年違いで

厄払いの文句にはならないかもしれないが、今は巨万の富をかかえている。

じつに、他の草双紙のおしまいの決め台詞「めでたしめでたし」とはことなり、

こちらはまったく「めでたし」を誂えたようにぴったしの

めでたいことなのでありました。

(補足)

「外ゝ」(ほかほか)、読めませんでした。意味も調べてわかった次第。

「でき合の」、「合」は前後の流れからなんとか。

 婦人は胸にくっきりと「人魚」とあります。裾の柄は青海波の一部のように見えますが、鱗に違いないようにおもわれます。

 ふたりの背後には千両箱を祭壇代わりに積み上げてお神酒徳利をのせています。

 「とう本゛うさく」、「東方朔」は前漢の人で、仙術をよくし、西王母(せいおうぼ)の桃を盗み食って長寿を保ったとの伝説がある、とものの本にはありました。文中たった百年違いとありますが、9000ー7900=1100ですので引き算の計算間違いです。

 「京傳作」の下の印章は「又臭」と読むのだそうです。人魚の臭気を許されよの意味。

終

 

2023年8月1日火曜日

箱入娘面屋人魚 その59

P32 国立国会図書館蔵

(読み)

此のもの可多りハ

このものがたりは


七 千 九  百  年 本ど

ななせんきゅうひゃくねんほど


む可しの事 尓て

むかしのことにて


どう可一 通 り尓きひて

どうかひととおりにきいて


ハうそらし个れとも

はうそらしけれども


もうとういつハり尓ごさ

もうとういつわりにござ


奈く候   人 魚 ハもとより

なくそうろうにんぎょはもとより


ふろうふし平 二ハとし可゛

ふろうふしへいじはとしが


よりそう尓奈るとハ女  本うを

よりそうになるとはにょうぼうを


奈め\/して今 尓このふうふ

なめなめしていまにこのふうふ


ぞんじやう尓ていまハ王多くしとなり尓

ぞんじょうにていまはわたくしとなりに


ち うきよ仕   り候   このうへいくらいきやうやら

じゅうきょつかまつりそうろうこのうえいくらいきようやら

(大意)

 この物語は七千九百年ほど昔のもので、このまま

通り一ぺんに聞いてしまうと嘘らしくおもえるのだが、

毛頭嘘偽りはございません。人魚はもともと不老不死で、

平次は年寄りになりそうになると、女房をなめなめして若返る。

いまでもこの夫婦は元気に暮らし、今はわたくしの隣に住んでいる。

この上、どれくらい生きるものなのであるかは、

(補足)

「千」「年」「手」のくずし字はどれもにたようなかたちで、最初は悩みます。

「よりそう尓奈るとハ」、「と(き)ハ」or 「ハ」をとるのかどちらでしょう?

 平次は座布団を敷いていますが、妻の方はなし。それとも元は人魚だったので不要なのか、さて?

ふたりとも煙管をもち、その前にあるのは火入れ、火屋(ほや)、火舎(かしゃ)とも。豪華な誂で、金持ちであることを示しています。