2025年4月30日水曜日

JAPANESE STORY-TELLERS その10

P8 個人蔵

(読み)

Here are functionaries with homely but

slightly haughty manners, worthy citizen of

the neighbourhood, accompanied by whole

families, and some of the populace as well,

-all waiting patiently for the entertainment

to begin, as they smoke diminutive pipes

and sip tea. It is very simple, this room,

like all Japanese rooms. At the further

end is a small platform, allotted to the

hanashika, and behind it the performers'

entrance, half-hidden by a costly curtain,

(大意)

 ここには、親しげだがどこか高慢な感じの役人風の者もいれば、近所の善良な市民や家族全員を連れてる者、そして同じくいろいろな人々たちが、開演を辛抱強く、煙草をふかしたり、お茶をすすったりしながら待っているのである。この部屋は他の日本の部屋などと同じように、大変に簡素なつくりになっている。

 奥まったところには、噺家のための小さな台があり、その後ろには演者たちのための出入り口があって、高価そうなのれんで半ば閉ざされています。

(補足)

 前のページで煙草盆のわきにあるのを下足札としましたが、ここでは「〼五番」とあって、座る場所の札になっています。はて?(「〼」は枡記号(一升枡の形に斜め線)で、フォントでも定着しているようです)

 床が薄緑になっているのは、畳のようで、それに座布団。大きめの急須と茶碗もあります。

 

2025年4月29日火曜日

JAPANESE STORY-TELLERS その9

P7 個人蔵

(読み)

tatami, those mats of dazzling cleanliness,

on which Japanese existence is passed.

Finally, you mount a staircase, very shining,

very polished, to the nikai or first floor,

where you are greeted from every quarter

at once with a second chorus of ' Irasshai!' 

The whole room is at your disposal; you

may sit, where you please, or rather, where

you can, for most seats are filled, as a rule,

from the commencement.

(大意)

日本人は輝くくらいに拭かれて清潔な畳というマットの上で生活しているからである。

 寄席小屋では最後に、ピカピカに磨きあげられて輝いている階段を上がり、二階(一段目の床)へ行く。一斉に四方八方から二度目のいらっしゃいの合唱で迎えられる.

 部屋全部が自由席で、どこに座ってもよい。というのも、ほとんどの席は、大抵の場合、最初から埋まってしまっているからだ。

(補足)

 その6で「大人口十」の意味が不明としました。調べたり考えたり、💡っとひらめきました。読みはそのままできっと「おとなくちじゅう」です。意味はこの「口」というのは助数詞で一口(ひとくち)、二口(ふたくち)などのように使います。なのでこの大人口というのは大人ひとりということで、十は十銭ということ。大人一「人」十銭の「人」を一口噺にひっかけて大人口十と寄席風にしたものとおもわれます。

 観客の後ろには、煙草盆やお茶のお盆、下足札もあります。江戸後期から明治に日本にやってきた西欧では上流階級に属するような人たちが、一様に驚いたのが日本の一般庶民の着物の色柄のシックさで、そのセンスの良さに感嘆しています。

 観客の薄ろ姿だけでも、地味ではありますが一人ひとりの色柄を変えていて、女子は娘の髷もあれば、御婦人の丸髷も数種類あるようにおもわれます。女の子もちらっと見えています。絵師・彫師・摺師の三者がとても優れていることがわかります。

 わたしが小学校入学したときの学級の保護者との記念写真では、母親たちは全員着物姿でありました。

 

2025年4月28日月曜日

JAPANESE STORY-TELLERS その8

P6(P7) 個人蔵

(読み)

なし

(大意)

なし

(補足)

 高座は円遊のステテコ踊りのようです。『落語家 懐かしき人たち 興津 要(旺文社文庫)』の中に、『「JAPANESE STORY-TELLERS」をめぐって』という章立てがあって、そこに記されています。

高座の左側には、馴染の名前があげられています。

高座の上の額「?寿亭」、なんでしょうね?

後ろの幕の右下は「飛ゐき」のように読めますが、さて?

P6P7は見開きになっていて、二階席からの眺めです。読者も寄席にいるような気持ちになって引き込まれます。

 

2025年4月27日日曜日

JAPANESE STORY-TELLERS その7

P5 個人蔵

(読み)

Yet you may as well accustom yourself

to this, since you will be greeted in the same

way in every public establishment from north

to south of Japan. Take care, also, not to

tread on the tiny, conical heaps of salt, 

which you will see on the floor near the

threshold. The impresario, as superstitions

as the rest of his class, has placed them

there to purify the house and attract fortune

to it in the shape of clients. Then, of

course, you must remove your shoes or

geta*, which you will hand to the gesokuban+

in charge of the cloak-room. With many

bows he deposits them in a numbered re-

ceptacle and presents you in exchange with

a receipt in the form of a wooden billet,

bearing the same number but of cumbrous

dimensions. Never, under any circum-

stances, may you keep on your shoes in a

Japanese house, since they would soil the

* Clogs.

+ The person who takes care of the clogs.

(大意)

 とはいえ、あなたはそのような対応にすぐに慣れるだろう。日本の津々浦々のあらゆる公共の施設では同じような挨拶をしてくれるだろうからだ。

 戸口の近くの床に小さい円錐状の塩の山があるのだが、それは踏みつぶさないように気をつけてほしい。

 興行主とて他の人たちと同様に迷信をかつぎ、塩を盛ることによって、家を清め、観客が入るようにと願っているのである。

 さて、無論、あなたは小屋に入るときは靴や下駄(木靴)を脱がなければならない。抜いだ下足は担当の係り(下足番)に手渡す。係の者は何度もお辞儀をして、下足を受取り、番号のついた下足置き場に置き、置いたところの番号と同じ番号の付いたもちにくい木札をあなたは受け取る。

 どんなことがあっても、日本家屋では靴を履いたまま家に上がってはならない。

(補足)

 当時西欧諸国の劇場などでは「the cloak-room」は必ず設置されていましたが、さすがに靴を脱ぐという習慣はなかったので、とても珍しく感じたものの、流れとしては同じようなことなので、その対比で理解し、細かく記しています。

 

2025年4月26日土曜日

JAPANESE STORY-TELLERS その6

P4 個人蔵

(読み)

拾銭 大人口十

(大意)

(補足)

 見返しにも入口付近の画があって、受付の様子も遠目から描かれていました。ここでは受付と下足番の詳しい画です。

 受付の行灯も蝋燭が入っていて灯りの濃淡がきれいです。正面に「拾銭」、脇に「大人口十」とありますが、「口十」の意味が不明です。見返しにも外の灯り看板の脇に同じくあるのですけど、現在調査中。

 そして、受付係の机上にも盛り塩があり、行灯の奥には下足札が積み重ねられていて、右手には下足札一枚を手にして準備しています。

 お客さんが上がりかけていて、左手に下足札を手にしています。下足番はすでに入場されたお客さんと同じ番号札を鼻緒にくくりつけていまして、下足番の人の履物は雪駄です。全体の様子が正確に細かく描かれています。

 足をかけて上がろうとしている旦那さん、のれんをくぐろうとしている日本髪の御婦人、お二人の羽織の濃い緑の濃淡の色具合も渋いですねぇ。

 下足番についてより詳しい興味をお持ちの方はこちらのHPがおもしろい。

「https://www.uhchronicle.com/a0116/a0116j.html」

《20250429記》

 調べたり考えたり、💡っとひらめきました。読みはそのままできっと「おとなくちじゅう」です。意味はこの「口」というのは助数詞で一口(ひとくち)、二口(ふたくち)などのように使います。なのでこの大人口というのは大人ひとりということで、十は十銭ということ。大人一人十銭の人を一口噺にひっかけて大人口十と寄席風にしたものとおもわれます。

 

2025年4月25日金曜日

JAPANESE STORY-TELLERS その5

P3 個人蔵

(読み)

柳橋 つ者゛女 左楽 小さん 里朝 小勝


麗々亭 柳橋 柳屋 つ者゛女 徳永 里朝 一徳舟 義蝶 春風亭 柳枝

柳亭 左楽 三升屋 勝治郎 松柳亭 鶴枝 三升屋 小勝 柳屋 小さん

(大意)

(補足)

 明治中期頃の電気事情はよくわかりませんが、入口脇の灯り看板の中は蝋燭だろうとおもわれます。灯りの濃淡が素敵で寄席文字もいっそう引き立ちます。

 入口敷居に3つの盛り塩があります。両脇に盛るのではないのですね。

 下足番の奥に漢数字の下足吊るしがあります。いろいろな履物があっておもしろい。でも、どうみても、入場するお客さん全員の下足はあずかりきれないようにみえます。あずけずに自分で持って入る人たちも大勢いたのでしょう。

 瓦上の招き看板を見上げているお客さんの姿が、わたしの父方の爺様の姿にそっくりでいろいろおもいだしてしまいます。ほんとにこんな格好でした。

 

2025年4月24日木曜日

JAPANESE STORY-TELLERS その4

P2 個人蔵

(読み)

their families, attracted by the prospect of

spending a pleasant evening at a moderate 

price, say five or six sen, that is, rather

more than a penny. Moreover, since these

establishments are only open in the evening,

an opportunity of recreation in their turn is

afforded to those, whose occupations prevent

them from going to the theatre during the

day.

 On the outer wall hangs a large paper -

lantern, on which in big letters shines the

name of the yosè, inviting you from afar, 

and, as soon as you reach your destination,

be sure to glance at the fuda, long laths,

inscribed with the names of artists, who are

due that evening: in fact, they furnish the

menu of the feast. If you like, you may

enter, but it will be as well to close your

ears, unless you wish to be deafened by the

attendants of the house, as they shout a

* Japanese theatrical performances are usually in the day time.


P3

welcome with the word:

" Irasshai,irasshai, irasshai!"


(大意)

 入場料は1ペニーよりも少し高いくらい、日本貨幣では5,6銭くらいだろうか、手頃な料金で楽しい夕刻を過ごすことができることも魅力なところである。

 しかも、これらの施設は夜にしか営業していないために、日中にそれらの劇場に行くことができない職業の人々にも娯楽の機会が与えられる。(注:日本の興行は通常日中に行われる)

 外の壁には大きな紙製の提灯がぶら下げられ、その上には大きな文字で寄席の名前が輝き浮かび上がり、遠くからあなたを招いているようである。そこへ近づいたらすぐに、長い木片のフダに記された当日の出演者たちの名前を必ず見てほしい。そこにはその晩の 彼ら噺家の名前の一覧が示されている。それらは実のところ、今宵の宴のメニューが張り出されているようなものなのだ。すぐにそのまま入場してもよろしければ入ってもかまわないのだが、案内係たちのけたたましい「いらっしゃい。いらっしゃい。いらっしゃい」という歓迎の言葉で耳が聞こえなくなってしまいたくなかったら、耳をふさいでおいたほうがよいだろう

(補足)

 寄席の入口の様子、東京では鈴本演芸場(上野)・浅草演芸ホール・新宿末廣亭・池袋演芸場などがありますが、ほとんどというか約140年前とまったく同じです。