2023年10月14日土曜日

桃太郎発端話説 その52

下P2P3 東京都立図書館蔵

下P2

(読み)

いつ多い里ち起゛

いったいりちぎ


いつへん奈るもの

いっぺんなるもの


ゆへむ可しのまづ

ゆえむかしのまず


志起を和すれず

しきをわすれず


い与\/志゛ひ

いよいよじ ひ


ぜんごんを

ぜんごんを


こゝろ可゛けて

こころが けて


くらし个る

くらしける


さてこ連まで

さてこれまで


可いお起多るせ う

かいおきたるしょう


るいのこらす

るいのこらず


者奈ち个る可゛奈可

はなちけるが なか


尓もさると

にもさると


きしとハこ連

きじとはこれ


までのおんを

までのおんを


可んじ和可れを

かんじわかれを


於しむ犬 ハ可へる

おしむいぬはかえる

(大意)

とても律儀一辺倒である者たちでしたから、

昔の貧しさを忘れず、今まで以上に

慈悲と善行を心がけを暮らしました。

 さて、これまで飼っていた動物たちは

残らず放してあげましたが、

特に猿と雉はこれまでの恩を感じ、

別れを惜しみました。犬は帰る

(補足)

 全体に読みやすい。

「志゛ひぜんごん」、慈悲善根。

 右端のおっとり顔をした娘さんは正座ですが、善人の婆様は立膝をしているようにみえます。当時御婦人がくつろいでいるとき立て膝で座るのは普通だったとものの本で読んだことがあります。

 

2023年10月13日金曜日

桃太郎発端話説 その51

下P2P3 東京都立図書館蔵

下P2

(読み)

とくこ奈らず

とくこならず


か奈らずと奈りの

かならずとなりの


者゛ゝ尓ひ起可へ

ば ばにひきかえ


志やうし起ふう

しょうじきふう


ふハ可づの多可らを

ふはかずのたからを


さづ可りまこと尓

さずかりまことに


志やうぜんの能そミ

しょうぜんののぞみ


多りて鳥 屋志やう

たりてとりやしょう


者゛いをやめいろは

ば いをやめいろは


づけのくらを

づけのくらを


多てゝ奈尓

たててなに


くら可らず

くらからず


くらし个る可゛

くらしけるが

(大意)

(論語に)「徳は孤ならず必ず隣あり」とあるように、隣の婆にひきかえ、

正直夫婦はたくさんの宝物をさずかり、この世の望みをすべてかなえることができ、

鳥屋商売をやめ、いろは付けの蔵を建てて、

何不自由なく暮らしました。しかし

(補足)

論語里仁第四之二五「子曰德不孤必有鄰」、仁徳のある人は孤立することなく必ず隣に理解者が有る。

相変わらず「と」と「こ」がまぎらわしいのですが、読めても意味がよくわからないとなおさらです。

「鳥」のくずし字が変体仮名「多」(た)にもみえてしまいます。

 大金持ちになったので居間は広々してとても豪華ですが質素です。爺さんは火鉢に暖かそうな座布団を敷いていますが、善人の婆さんは何もなし。正直爺さんそんなことでいいのですか!

 

2023年10月12日木曜日

桃太郎発端話説 その50

下P1 東京都立図書館蔵

(読み)

「もゝんぐ王ア奈んどいふやう奈

 ももん があなんどいうような


奈まけ多事 でハ奈ひアゝ徒のもねへ

なまけたことではないああつのものへ


「奈んとすさまじ

 なんとすさまじ


可ろふ可や

かろうかや


「こうつるし

 こうつるし


あげられ

あげられ


てハそつ

てはそっ


ちのお尓ミゟ

ちのおにみより


こつちのこめ

こっちのこめ


可ミ可い多印

かみがいたしるし


い多いのねと

いたいのねと


き多

きた



「アゝ

 ああ


多すけ

たすけ


給 へ\/

たまえたまえ

(大意)

「ももんがぁなどというふざけた我らではないぞ。

(この慳貪婆は)角もねぇ」

「(こめかみをつかまれている慳貪婆の痛がりようは)なんとも

凄まじいものだ」

「こんなに吊るし上げられては、そっちの鬼の身より

こっちのこめかみがいた印の痛いときたぞ」

「あぁ助け給え給え」

(補足)

「事」のくずし字は、平仮名「る」のようなかたち。

「印」のくずし字は、偏と旁が上下になるくずし字はたくさんあって、印もその一つ。

「給」のくずし字は、バネの螺旋のように2重にクルクルまわします。

 北斎の特徴はこのような絵をみるとよくわかります。あらっぽく勢いよく描いてはいますが、鬼たちの一瞬の動きをとらえていて、まさに連続撮影した分解写真のひとつであるようにもみえますが、北斎のほうが何倍も生き生きしています。

 

2023年10月11日水曜日

桃太郎発端話説 その49

下P1 東京都立図書館蔵

(読み)

宇治拾遺ニ曰(うぢし うゐい王く)

       うじしゅういいわく


今 ハむ可し女  あり春ゝめのけ可゛志多るを

いまはむかしおんなありすずめのけが したるを


やし奈いて者奈ちけれバおんをむ

やしないてはなちければおんをむ


くふ多めひさごの多年をく王へ

くうためひさごのたねをくわえ


き多るその多年をうへ多る尓ひさご

きたるそのたねをうえたるにひさご


おゝくいで起てミ奈うち尓者く

おおくいできてみなうちにはく


まいありと奈りの女  こ連を

まいありとなりのおんなこれを


うらやミむり尓すゞめ尓け可゛

うらやみむりにすずめにけが


させてやし奈ひ者奈ち个る

させてやしないはなちける


尓ぞこのすゝめもひさごの

にぞこのすずめもひさごの


多年をく王へき多るうへ个れ

たねをくわえきたるうえけれ


バ者多していで起尓个りさてひさ

ばはたしていできにけりさてひさ


ごのうちよりどくむしおゝく

ごのうちよりどくむしおおく


いでゝ可の女  をい多くさし个る

いでてかのおんなをいたくさしける


このつゞらも可のふくべよりいで

このつづらもかのふくべよりいで


多る者奈し奈りものうらやミハせまじ起もの奈り

たるはなしなりものうらやみはせまじきものなり

(大意)

 宇治拾遺物語に曰く、

今ではもう昔のことだが、ある女がいた。

怪我をした雀を養って放したところ、

その恩に報いるためひさごの種をくわえてやって来た。

その種を植えてたところ、ひさごがたくさんなって

その実の中に白米が入っていた。

 隣の女がこれを見て羨み、無理に雀に怪我をさせ

養い放したのだ。

この雀もひさごの種をくえてやって来た。植えてみると

おもったとおり育った。ところがひさごの中から出てきたのは

たくさんの毒虫で、この女をひどく刺したのだった。

 この葛籠のはなしはも、もとはこのふくべ(ひさご)からの噺

である。物事、羨むことはするものではない。

(補足)

「おんをむくふ多め」、「こ連をうらやミ」、「く」と「う」がほとんど同じかたちです。前後の流れで読むしかなさそうです。

 慳貪婆の顔が般若のお面のようにもみえます。

 

2023年10月10日火曜日

桃太郎発端話説 その48

下P1 東京都立図書館蔵

(読み)

けんどん者゛ゝハおも起つゞらを

けんどんば ばはおもきつづらを


もち可へりし可゛いつ多いこの

もちかえりしが いったいこの


つゞらハちくら可゛お起尓てひろひ

つづらはちくらが おきにてひろい


多るあくまけどうをこめ

たるあくまげどうをこめ


おきしつゞら奈連バふ多をあける

おきしつづらなればふたをあける


までも奈く多ちまち奈可より

までもなくたちまちなかより


めり\/とつゞらをこ王しゐぎやう

めりめりとつづらをこわしいぎょう


のきじんあら和れけんどん者゛ゝを

のきじんあらわれけんどんば ばを


ち う尓つ可んでお尓可゛し満へとび

ちゅうにつかんでおにが しまへとび


由起しハてんこちも奈起志多゛い奈り

ゆきしはてんこちもなきしだ いなり

(大意)

 慳貪婆は重い葛籠を持ち帰りましたが、

そもそもこの葛籠は、築羅の沖で拾った悪魔・外道を

押し込めた葛籠でありましたので、蓋を開けるまでもなく、

たちまち中よりメリメリと葛籠をこわし、

異形の鬼神あらわれ、慳貪婆を宙につかんで、

鬼ヶ島へ飛んで行ってしまうとは、

とんでもない次第なのでした。

(補足)

 スラスラと読めるところです。

「おも起つゞら」とその2行となりの「ちくら可゛お起」の変体仮名「於」を比較するとだいぶ形がことなります。

 鬼の髭や後れ毛、婆の逆立つ髪の毛がやけに丁寧に一本一本はっきり描かれてます。

 

2023年10月9日月曜日

桃太郎発端話説 その47

下表紙 東京都立図書館蔵

(読み)

附  り

つけた


作 者  山 東 京  傳

さくしゃ さんとうきょうでん


爺〃(ぢゝ)山(やま)へ艸双帋(くささうし)に

じじ じじ   やま へ    くさそうし に


むかし\/ 有(あ多)多土佐節(とさぶし)

むかしむかし  あた た    とさぶし


昔(む可し)〃(\/ )

  むかし   むかし


桃太郎發端話説(もゝ多らう本川多ん者゛奈し)

        ももたろうほったんば なし


并  ニ

ならびに


扨(さて)も其後(そのゝち)實方卿(さ年可多きやう)

  さて も   そののち     さねかたきょう


婆〃(者゛ゝ)ハ川(可ハ)へ千載集(せんざいし う)の

   ば ば は  かわ へ    せんざいしゅう の


(下)板 元 通  油  町  (蔦屋印)徒多や

 げ はんもととおりあぶらちょう     つたや

(大意)

(補足)

 挿絵は昔噺桃太郎の登場人物動物。

「有」の振り仮名「あ多」は「あ川」の間違いか。

「艸双帋」「土佐節」は言葉遊びとすぐにわかりますが、「千載集」はすぐにはピンときません。實方の歌がのっているだけの洒落ではないとおもうのですけど。

 

2023年10月8日日曜日

桃太郎発端話説 その46

中P10 東京都立図書館蔵

(読み)

志多きり春ゞめハおと

したきりすずめはおと


といきやれとお者゛ゝを

といきやれとおば ばを


げち\/のとり阿川

げじげじのとりあつ


可い尓てあとへ志保を

かいにてあとへしおを


まく

まく


「てんとおもいつゞら多゛奈んでも

 てんとおもいつづらだ なんでも


このうち能多可らをせしめ

このうちのたからをせしめ


うるしとでゝとらや起

うるしとでてとらやき


さつまいものくいあ起を志ませ う

さつまいものくいあきをしましょう


「奈んとおれ可゛志うちハそで

 なんとおれが しうちはそで


可ゞミのあんじつの多゛んくん助

かがみのあんじつのだ んぐんすけ


もと起とミへやう可゛や

もどきとみえようが や

(大意)

 舌切雀はおととい来やがれと

お婆をげじげじ(憎まれ者)のように取り扱い、

あとから塩をまきました。

「ずいぶん重い葛籠だ。

この葛籠の中の宝をせしめ漆(せしめ(う)る(し)の言葉遊び)として、

どらやき・さつまいもを食い飽きるまで楽しもう。

「なんとわしの格好は、芝居の「姻袖鏡(こんれいそでかがみ)」の庵室(あんじつ)の段の軍助のようにみえるであろうな

(補足)

「志保」、しお(塩)ですが、字面からはどうも塩がおもいうかびません。

「姻袖鏡(こんれいそでかがみ)」は調べてみると「菊池大友姻袖鏡』(きくちおおとも こんれいそでかがみ」のことので、芝居では葛籠の中に姫が入っていたですが、お婆の葛籠の中は、お子様方はすでにご存知・・・