2021年7月14日水曜日

豆本 さるか尓合戦 その7

P7

(読み)

さん

ざん


禰ん

ねん


尓おもひ

におもい


や可満しく△

やかましく


△いへバ

 いえば


さるハ

さるは


や可ましと

やかましと


(大意)

残念におもい

大声で文句を言うと

猿はうるさいっと

(補足)

「や」が現在の平仮名「ゆ」にみえてしまいます。変体仮名「也」(や)は平仮名「つ」をかいて最後に内側でクルッと右回りに一周します。

P6P7見開き

 両者を比べると、猿のほうがやや稚拙?柿の木も少々荒っぽい。蟹の脇には石灯籠。上の中抜の部分をとおして色を忘れていませんが、柿の枝分かれ部分はうっかり・・・

 

2021年7月13日火曜日

豆本 さるか尓合戦 その6

P6

(読み)

きへの本゛れぬいへ

きへのぼ れぬゆえ


とることできぬと

とることできぬと


きさ満とりて

きさまとりて


くれゝバ王けて

くれればわけて


やるべしと由ふ

やるべしちゆう


さるハ春ぐ尓

さるはすぐに


き尓の本゛りて

きにのぼ りて


つへ多るを

つえたるを


くらひ春こし

くらいすこし


もよこさ須゛

もよこさず


志多尓て

したにて


可尓ハ

かには


(大意)

木に登れなかったので

採ることができませんでした。

おまえが採ってくれれば分けて

やるぞと言うと

猿はすぐに

木に登って

熟したもの食って

少しもよこさず

下にいた蟹は

(補足)

「きへの本゛れぬいへ」、「いへ」は「ゆへ」のまちがいでしょう。

「つへ多るを」、辞書を引きました。「漬える」や「費える」はわかりましたが、「熟える」は知りませんでした。いい歳をしたジジイなのにお恥ずかしいばかり・・・

文章はきれいに摺られていて読みやすい。

 

2021年7月12日月曜日

豆本 さるか尓合戦 その5

P4

(読み)

可尓の可多

かにのかた


きさるを

きさるを


う春と多満

うすとたま


こ者ち尓て

ごはちにて


うちとり

うちとり


多り

たり


(大意)

蟹の敵(かたき)

猿を

臼(うす)と玉子

と蜂(はち)で

討ち取ったり


(補足)

 一番左の武士蟹は手に「大當」の扇をもって応援。その隣は帷子を肌着にいざと構える玉子武士。臼は歌舞伎の衣装。頁かわって、刺股(さすまた)で取り押さえるは蜂、中央はまいったまいったと猿。奥には立会人が2名蟹姿。

 これを読んだ子どもたちは、それぞれ配役を決めて「猿の敵うち」ごっこをしたんでしょうね。

 説明文の背景の赤色に白い柄があるなと拡大してみると、どうやら蜂のようです。違うかな?

P4P5パノラマ

 パノラマで見ると、いつもおなじことをかいてしまいますが、やはりこの広がりはいいです。

 

2021年7月11日日曜日

豆本 さるか尓合戦 その4

P2P3見開き

(読み)下段

P2

●由起て

 ゆきて


多のしミ

たのしみ


い多るとこ

いたるとこ


ろへさる8

ろへさる


P3

8き多りて

 きたりて


奈ぜとら

なぜとら


ぬといゝ

ぬといい


けれバ王れハ

ければわれは


(大意)

いって楽しんでいる

ところへ

猿が来て

なぜ(柿の実を)採ら

ないのかと

聞いたところ

自分は


(補足)

合印はいろいろな形がありますが、◯ふたつの8の字のものはあまり見たことがありません。

「こ」と「と」は似ているので注意。

 蟹の肌の色が白くて、色を忘れたのではとおもいましたが、このあとの頁を見てみるとみな白いので色白の蟹ということのようです。水桶の取っ手の下のところは色忘れ。

生け垣の格子の部分はすべてしっかり紐で縛られてますし、枝折り戸のひし形の格子部分も同様です。丁寧です。

 

2021年7月10日土曜日

豆本 さるか尓合戦 その3

P2

P3

(読み)上段

P2

うへ

うえ


て多の

てたの


しミい多り

しみいたり


ひ尓まし△

ひにまし


P3

△ゑ多゛者

 えだ は


志げり

しへり


多くさん尓

たくさんに


可起奈り

なきなり


个る

ける


きの

きの


もとへ●

もとへ


(大意)

植えて楽しんでいました。

日増しに枝は茂り

柿が沢山に実りました。

木の元へ

(補足)

 文章の流れが両ページにまたがるので上下段に分けます。△◯8の合印でつながります。

「ゑ多゛者」、助詞の「は」はたいては「ハ」ですが、ここでは変体仮名「者」(は)。

中央の太い幹の両面の色が異なってますけど、陰影のつもりなら極端だし、何か訳があるのか?

 猿はわらじで蟹はけとばされたら痛そうな角下駄、なんとなくそれらしい。

猿が左手でちょいと裾を持ち上げる仕草が粋なんでしょうね。

 

2021年7月9日金曜日

豆本 さるか尓合戦 その2

P1

(読み)

明治十九年十一月二日内務省交付


む可し\/ ある

むかしむかしある


や満可げ尓

やまかげに


さると可尓

さるとかに


ありあるひ可尓ハむ春

ありあるひかにはむす


びをひとつもちさるハかきの

びをひとつもちさるはかきの


多年をもちき多りむ春び

たねをもちきたりむすび


ととり可へくらゐ个る可尓

ととりかえくらいけるかに


ハ可起の多年をもち

はかきのたねをもち


王可゛やへ可へり尓ハへ

わが やへかえりにわへ


(大意)

昔々ある

山かげに

猿と蟹が

いました。ある日蟹はむすびを

ひとつもち猿は柿の

種をもって来ました。(猿は)むすびと

取り替えて食べてしまいました。蟹は

柿の種を持って

我が家へ帰り庭へ

(補足)

 この豆本は保存状態がとても良くて文字にかすれがなく絵の色合いも鮮やかです。発売された当初のままではないかとおもわれます。

 文章に難しいところはなさそうです。

 猿の体毛の色が濃紫色、僧侶なら高僧であります。それに花柄の赤いちゃんちゃんこが可愛らしい。手には柿の種をひとつ持っているはずですが、拡大してもわかりません。蟹のでっかい白いむすびは10人前くらいありそう。蟹の腹のしかめっ面のシワは定番です。山奥のどこかののどかな風景です。

 

2021年7月8日木曜日

豆本 さるか尓合戦 その1

表紙

見返し

(読み)

さるか尓合 戦

さるかにがっせん


綱 島 藏 版

つなしまぞうはん


東京図書館印 TOKIO LIBRARY

(大意)

(補足)

 まわりの花柄模様はこのシリーズではみな同じようです。二人ならべるとどうしても阿行吽形になってしまうようで、二人の手のひらがパーとグーになってます。上の武者姿の上着が背景の色と同じになってしまってます。

「か」は平仮名ではなく変体仮名「加」(か)だとおもいます。